ヒトリシズカ | Chloranthus japonicus Sieb. | ||
里山・山地・林床の植物 | センリョウ科 チャラン属 |
Fig.1 (兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2011.4/19) |
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Fig.2 (兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2013.4/25) 低山〜山地、里山の林床に生育する多年草。 根茎は短く、横にはい、節から数本〜多数の茎を直立する。 茎ははじめ赤褐色でのちに緑色となり、無毛、高さ15〜30cm、下部の3〜4節には膜質の鱗片葉があり、上部の2節に大型の葉がある。 大型の葉の節間はごく短く、4枚の葉が輪生するように見える。葉柄は長さ0.5〜1.5cm。 葉身は楕円形、卵状楕円形ときに広楕円形で先は急に狭まってとがり、基部は鋭形、長さ4〜9cm、幅2〜7cm、縁には鋭鋸歯があり、薄く、両面無毛。 花は頂生する1本(まれに2本)の穂状花序に、密に多数つく。花序の長さは花期に1〜2cm、果期には伸びて2〜3cmになる。 苞は半円形で横に広く、長さ0.5mm、先は平らか浅く2〜3裂する。 雄蕊3個は合着し、葯隔は糸状にのび、白色で長さ3〜5mm、中央の雄蕊はふつう葯がなく、両側の雄蕊の基部外側にそれぞれ1個の黄色の葯がある。 子房は長さ約1mm。果実は淡緑色、球形で長さ2.5〜3mm。 近縁種 : キビヒトリシズカ、 フタリシズカ ■分布:南千島、北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国(中北部、東北部)、樺太 ■生育環境:里山の林縁、落葉広葉樹の疎林内など。 ■花期:4〜5月 |
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↑Fig.3 群れ咲くヒトリシズカ。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2011.4/19) 地中に短い横走根茎があり、節から茎を多数だして群生することが多い。 |
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↑Fig.4 茎と鱗片葉。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2011.4/19) 茎は4角柱状で、花期には赤褐色を帯び、無毛。下部の3〜4節には膜質の鱗片葉がある。 |
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↑Fig.5 茎上部の大きな葉。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2011.4/19) 茎上部の2節には、大型の葉が対生する。節間は短いため、4個の葉が輪生しているように見える。 葉には葉柄があり、葉身は楕円形、卵状楕円形ときに広楕円形で先は急に狭まってとがり、基部は鋭形、薄く、両面無毛。 葉縁には整った鋭鋸歯が並ぶ。 |
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↑Fig.6 花序。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.4/17) 花序は穂状花序で、ふつう1個まれに2個が茎頂につき、密に多数の花をつける。 花の白色に筒状に伸びているのは雄蕊の葯隔で、3個が基部で合着する。 3個の雄蕊のうち中央のものにはふつう葯がなく、両側基部に葯がつく。 葯は展葉と同時に開き、半ば葉が開いているものでは上半部の葯はすでに欠落していることが多い。 |
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↑Fig.7 開花初期の花序。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2011.4/19) 解りにくいが、雄蕊の葯隔基部に黄色の葯が見える。 ルリマルノミハムシが訪花して、花粉を漁っているのが見える。 |
生育環境と生態 |
Fig.8 雑木林の斜面で生育するヒトリシズカ。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2011.4/19) 破砕された堆積岩の斜面の雑木林の林床にエビネ、トキワイカリソウとともに生育している。 周辺にはミヤマフユイチゴ、クサイチゴ、ヒカゲスゲ、ヨシノアザミなどが見られた。 |
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Fig.9 オオマルバコンロンソウとともに生育するヒトリシズカ。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2011.4/19) Fig.7 と同じ場所で、斜面の下部の湿り気の多い場所ではオオマルバコンロンソウが混生してくる。 この場所は丹波地方で新たに発見したオオマルバコンロンソウ自生地で、ヒトリシズカ、エビネ、イチリンソウ、アマナが多く見られる。 |