ホソバシケシダ(?) Deparia conilii  (Franch.& Sav.) M.Kato
  山地・林縁・斜面のシダ イワデンダ科 オオシケシダ属
Fig.1 (神戸市・林縁 2011.7/11)
本ページに掲載のものは信頼のおける方から「フモトシケシダ」の可能性が高いというご指摘を受けました。
フモトシケシダは「兵庫県産維管束植物1」に記載されておらず、2012年度に周辺の個体も含め精査し、慎重に結論を出したいと思います。
それまでは暫定的に「ホソバシケシダ(?)」という表記で掲載を続行いたします。


山地の林縁、湿った斜面などに生育するやや小型の夏緑性シダ。
根茎は長く横走し、径1〜1.5mm、黒っぽい色で、鱗片はあるが早落性で古い部分は裸出する。
鱗片は長楕円形〜卵形、長さ5mm、幅1.5〜2.5mmに達し、膜質、褐色〜暗褐色、全縁。
葉は2形。葉柄は径1.5mm以下と細く、わら色だが、基部は黒くて鱗片があり、長さは胞子葉で10〜30(〜45)cm、栄養葉で2〜10(〜15)cm。
胞子葉の葉身は狭披針形〜披針形、長さ8〜45cm、幅1〜7(〜15)cm、鋭尖頭、下部はわずかに狭まるが、最下羽片は多少長くなり、
羽状に深裂し、薄い草質。
羽片はふつう開出、下部羽片は下向きにつき、線形〜狭長楕円形、長さ0.5〜8cm、幅0.5〜1.5cm、鈍頭〜鋭尖頭、基部は前側で切形、
後ろ側でくさび形となり、無柄。裂片は長楕円形、長さ5〜8mm、幅3〜4mm、ほぼ全縁か、わずかに鈍鋸歯縁。
中軸には小さい鱗片があり、有毛。胞子嚢群は裂片の中肋近くにつき、長楕円形、長さ4mm以下、まれに2列になったり、鈎形になったりする。
苞膜は薄く、無毛、辺縁は裂ける。
他のオオシケシダ属との種間雑種が多く出現する。
近縁種 : シケシダ、 ヤブシダ、フモトシケシダ、ナチシケシダ、ヒュウガシケシダ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国中部
■生育環境:山地の林縁、湿った斜面など。

Fig.2 全草標本。(神戸市・林縁 2011.6/29)
  葉は2形。長いものは胞子葉で、短いものは栄養葉。
  胞子葉の葉柄は長く、栄養葉の葉柄は葉身よりも短い。
  胞子葉の葉身は狭披針形〜披針形、鋭尖頭、下部はわずかに狭まるが、最下羽片は多少長くなり、羽状に深裂し、薄い草質。

Fig.3 根茎と葉柄基部。(神戸市・林縁 2011.6/29)
  根茎は長く横走し、黒っぽい色で、鱗片はあるが早落性で古い部分は裸出する。
  葉柄基部は黒くて鱗片があり、鱗片は長楕円形〜卵形、膜質、褐色〜暗褐色、全縁。

Fig.4 胞子葉の下部羽片。(神戸市・林縁 2011.6/29)
  下部はわずかに狭まるが、最下羽片(右端)は多少長くなる。中軸には狭披針形の鱗片と毛がある。

Fig.5 羽片裏面。(神戸市・林縁 2011.6/29)
  胞子嚢群は裂片の中肋近くにつき、長楕円形、まれに2列になったり、鈎形になったりする。

Fig.6 苞膜は薄く、無毛、辺縁は細裂する。(神戸市・林縁 2011.6/29)

Fig.7 栄養葉のみの小型個体。(神戸市・林縁 2011.6/29)

生育環境と生態
Fig.8 社寺の古い石垣に生育するホソバシケシダ。(神戸市・社寺の石垣 2011.7/11)
苔むした多湿な社寺の石垣にイヌシダやコバノヒノキシダとともに着生していた。
他にクサアジサイ、コアカソ、ヌカボシソウなどが見られた。

以下に高解像度の画像をリンクいたしました。ご興味のある方はご覧ください。また、ご意見をお聞かせください。
Fig.1の元画像
胞子葉の葉柄基部
苞膜


最終更新日:8th.Feb.2012

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