カンサイイワスゲ | Carex chrysolepis Franch. et Sav. var. glabrior (Ohwi) Ohwi |
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山地・岩上の植物 兵庫県RDB Aランク種 |
カヤツリグサ科 スゲ属 イワカンスゲ節 |
Fig.1 (兵庫県但馬地方・岩場 2015.6/13) |
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Fig.2 (兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 山地の岩場に生育する多年草。 根茎は短く、叢生する。有花茎は高さ15〜35cm、上部はややざらつく。 葉は花後に伸張し、幅1.5〜2.5mm、硬質でざらつく。基部の鞘は暗褐色、古いものは繊維状に細裂する。苞の葉身は刺状。 頂小穂は雄性、棍棒状、長さ1〜1.6cm、まれに基部に雌花を混生し、無柄または短柄がある。雄鱗片は淡褐色、鈍頭。 側小穂は雌性で、短柱状、長さ1〜2.5cm、下方のものには明瞭な柄がある。雌鱗片は淡褐色で、鋭頭。 果胞は雌鱗片から超出し、披針形、長さ5〜6mm、まばらに短毛があり、縁には細鋸歯があり、くちばしは長く、口部は2歯、基部は有柄。 痩果は密に果胞に包まれ、狭楕円形、長さ2.2〜2.5mm、基部に長い柄がある。柱頭は3岐する。 コイワカンスゲ(var. chrysolepis)は匍匐根茎があり、果胞は長さ4〜5mmでくちばしは短く、雌鱗片には短芒が出るものがある。四国、九州。 ミヤマイワスゲ(C. odontostoma)は雄鱗片、雌鱗片ともに褐色で、雄鱗片は鈍尖頭、果胞は長さ6〜7mm、痩果は長さ2.8〜3mm。四国、対馬、屋久島。 イワカンスゲ(C. makinoensis)は頂小穂(雄性)が黒褐色で長さ3〜8cmと長く、果胞は上部が褐色となり長さ4.5〜7mm、痩果は長さ3.5〜4.5mm。四国、九州。 ツクバスゲ(C. hirtifructus)は雌鱗片は暗褐色〜赤紫褐色で、果胞の長さ4〜6mm、痩果は長さ3〜3.5mm。本州(近畿以北)、四国、九州。 ショウジョウスゲ(C. blepharicarpa)は雌鱗片は暗褐色〜赤紫褐色で、果胞は長さ4〜6mmで口部は凹形、痩果は長さ3〜4mm。北海道〜九州。 近縁種 : コイワカンスゲ、 ミヤマイワスゲ、 イワカンスゲ、 ツクバスゲ、 ショウジョウスゲ ■分布:本州(近畿地方) ■生育環境:山地の岩場など。 ■果実期:5〜6月 |
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↑Fig.3 全草標本。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 根茎は短く、叢生する。有花茎は高さ15〜35cm。葉は花後に伸張する。 |
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↑Fig.4 基部。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 基部の鞘は暗褐色、古いものは繊維状に細裂する。 |
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↑Fig.5 葉。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 葉は幅1.5〜2.5mm、硬質でざらつく。 |
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↑Fig.6 有花茎。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 頂小穂はふつう雄性で、まれに基部に雌花を混生する。側小穂は雌性で、下方のものは有柄。 頂小穂、側小穂ともに淡褐色〜やや茶褐色。 |
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↑Fig.7 有花茎上部はざらつく。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 上向きの刺状突起が並ぶ(矢印)。 |
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↑Fig.8 包。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 苞の葉身は刺状。鞘は明瞭。 |
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↑Fig.9 雄小穂とその拡大。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 雄小穂は棍棒状、長さ1〜1.6cm、無柄または短柄がある。雄鱗片は淡褐色、鈍頭。 |
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↑Fig.10 雌小穂とその拡大。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 雌小穂は短柱状、長さ1〜2.5cm、下方のものには明瞭な柄がある。 果胞は鱗片から超出し、縁には細鋸歯があり、くちばしは長く、口部はするどい2歯となる。 |
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↑Fig.11 雌鱗片。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 雌鱗片は淡褐色で、鋭頭。芒は無い。 |
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↑Fig.12 果胞(雌鱗片がついたもの)と痩果。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) 果胞(画像上)は雌鱗片から超出し、披針形、長さ5〜6mm、まばらに短毛があり、くちばしは長く、口部は2歯、基部は有柄。 痩果は密に果胞に包まれ、狭楕円形、長さ2.2〜2.5mm、基部に長い柄がある。 |
生育環境と生態 |
Fig.13 岩場の最上部に生育するカンサイイワスゲ。(兵庫県但馬地方・岩場 2014.6/25) カンサイイワスゲは岩壁の日当たりよい岩棚や、割れ目、岩稜上の岩場最上部の日当たりよい場所などの風衡地に生育している。 ここでは同所的にコメバツガザクラ、ユキグニミツバツツジ、アラゲナツハゼ、オオバスノキといったツツジ科やアカミイヌツゲなどの低木、 ナガミヒメスゲ、イワキンバイ、コオニユリなどの草本とともに生育している。 場所が場所だけに足場が悪くて3脚がなかなかセットできず、生育環境を示す良い画像を撮ることができなかった。来年の課題としたい。 |