ケヤマハンノキ | Alnus hirsuta Turcz. | ||
山地・林縁・渓流の植物 | カバノキ科 ハンノキ属 |
Fig.1 (西宮市・渓流畔 2010.6/14) |
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Fig.2 (西宮市・渓流畔 2011.3/5) 丘陵〜山地の撹乱のある林縁や渓流畔に生育する落葉高木。 幹は高さ15〜20m。樹皮はやや紫褐色を帯び、平滑で、灰色の横長の皮目が目立つ。 小枝は葉裏や花序とともに、赤褐色あるいは汚褐色の軟毛がやや密生する。 葉は長さ1.5〜3cmの柄があり、広卵形、広楕円形、広円形、鈍頭または円頭で、基部は円形、切形または浅心形、 縁は浅く欠刻状に分裂し、不整な鋸歯があり、長さ6〜14cm、幅4〜13cm、側脈は6〜8対、裏面に隆起する。 葉裏は淡色または青白色で、赤褐色の毛を生じるが、変異が大きい。 花は葉に先立って開く。雄花序は枝の先と先端部の葉腋に2〜4個つき、柄があり、下垂する。雌花序はその下方に3〜5個つく。 果穂は楕円形または卵状楕円形、長さ15〜25mm、幅10〜13mm。堅果は扁平、長楕円形で長さ3〜3.5mm、両側に狭い翼がある。 【メモ】 本種は砂防や緑化で植樹されることも多く、生育していても自生か植栽かの見きわめが難しい。 西宮市内の六甲山系に見られるものは砂防用にオオバヤシャブシなどとともに植栽された可能性が高い。 近縁種 : ヤマハンノキ、 カワラハンノキ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、樺太、カムチャッカ、東シベリア ■生育環境:丘陵〜山地の撹乱のある林縁や渓流畔など。 ■花期:3〜4月 |
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↑Fig.2 樹幹。(西宮市・渓流畔 2011.3/5) 樹皮はやや紫褐色を帯び、平滑で、灰色の横長の皮目が目立つ。 |
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↑Fig.3 枝と葉。(西宮市・渓流畔 2010.6/14) 枝はよく分枝し、葉は互生し、有柄。 葉身は広卵形、広楕円形、広円形、鈍頭または円頭で、基部は円形、切形または浅心形、縁は浅く欠刻状に分裂し、不整な鋸歯がある。 |
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↑Fig.4 3年枝の拡大。(西宮市・渓流畔 2011.3/5) |
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↑Fig.5 開花期。(西宮市・砂防ダム上 2011.3/5) 開花期は早春で、展葉に先立つ。 |
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↑Fig.6 雄花序と雌花序。(西宮市・渓流畔 2011.3/5) 雄花序は枝の先と先端部の葉腋に2〜4個つき、長い柄があり、下垂する。 雌花序はその下方に3〜5個つき、柄は曲がって雌花序は下向きとなり、雄花序とほぼ同じ高さとなる。 |
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↑Fig.7 雌花序の拡大。(西宮市・渓流畔 2011.3/5) 柄にはロウ状の膜があるが、カワラハンノキほど厚くなく、ひび割れが多く、はがれ気味で透明感がある。 |
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↑Fig.8 前年の果穂。(西宮市・渓流畔 2011.3/5) 果穂は楕円形または卵状楕円形。 |
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↑Fig.9 堅果。(西宮市・渓流畔 2011.3/5) 堅果は扁平、長楕円形で長さ3〜3.5mm、両側に狭い翼がある。 |
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↑Fig.10 越冬芽と葉痕。(西宮市・渓流畔 2011.3/5) 芽鱗は少なく、楕円形、円頭、紫褐色。定かではないが、鱗片に毛が生え、その上にロウ状の膜が被っているように見える。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 砂防ダム上の砂質の湿地に生育開花したケヤマハンノキ。(西宮市・砂防ダム上 2011.3/5) 六甲山系の砂防ダム上に砂礫と腐植質が堆積して生じた湿地状の場所に樹高10mほどのケヤマハンノキが点在していた。 湿地形成は比較的新しく、林床には充分に日射があり、アイバソウ、テキリスゲ、アズマナルコ、アケボノソウが見られ、 砂礫の多い箇所ではサイコクキツネヤナギとケヤマハンノキの若い木が多く、遷移が進みつつある周辺部ではクマイチゴ、ナガバモミジイチゴ、 ニガイチゴ、キブシなどが見られ、草本ではヒメジソ、シラヤマギク、フキが見られた。 |