キクアザミ | Saussurea ussuriensis Maxim. | ||
草原の植物 兵庫県RDB Bランク種 | キク科 トウヒレン属 |
Fig.1 (兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.10/19) 山地の日当たり良い草原に生育する多年草。茎は高さ30〜120cm。 根生葉は開花時にもあり、葉柄は長さ5〜20cm、葉身は卵形で長さ7〜18cm、羽状に浅〜中裂し、堅い。 茎葉は上のものほど葉柄が短く、上部では葉身は狭小となり、無柄、基部は沿下しないため、茎に翼は生じない。 頭花は散房状につくが、花柄は短い。総苞は長さ12〜13mm、幅4〜5mm。 総苞片は5〜7列で、最外片は長楕円形〜卵形、先は急に短く尖る。花冠は長さ11〜13mm。 変種にウスユキキクアザミ(var. nivea)があるが、詳細は不明。葉にくも毛が生じるものか? ホクチアザミ(S. gracilis)は葉が長3角形で、裏面には綿毛があって白い。 ネコヤマヒゴタイ(S. modesta)は山地の湿地に生え、下部の葉は披針形〜線状披針形。中国地方〜関東地方。 ミヤコアザミ(S. maximowiczii)は葉身が長楕円形で、羽状に深裂、側裂片は4〜6対。本州〜九州。 ヒメヒゴタイ(S. pulchella)は越年草で、葉は羽状深裂〜全縁で両面に短毛と腺点があり、つぼみも美しく目立つ。 セイタカトウヒレン(S. tanakae)は茎に著しい翼がつき、開花時に根生葉はなく、総苞は黒紫色で絹毛がある。 ホクチアザミとの間に推定種間雑種のホクチキクアザミ(S. x subgracilis)がある。 近縁種 : ホクチアザミ、 ネコヤマヒゴタイ、 ミヤコアザミ、 ヒメヒゴタイ、 セイタカトウヒレン ■分布:本州、九州 ・ 朝鮮半島、中国、ウスリー ■生育環境:山地の日当たり良い草原など。 ■花期:9〜10月 |
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↑Fig.2 根生葉。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.10/19) 根生葉は開花時にもあり、葉柄は長さ5〜20cm、葉身は卵形で長さ7〜18cm、羽状に浅〜中裂し、堅い。 |
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↑Fig.3 茎中〜上部の葉。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.10/19) 茎葉は上のものほど葉柄が短く、上部では葉身は狭小となり、無柄、基部は沿下しないため、茎に翼は生じない。 |
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↑Fig.4 葉表の拡大。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.11/16) 黄変した葉の表面拡大。短毛がまばらに生える。 |
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↑Fig.5 葉裏の拡大。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.11/16) 黄変した葉の裏面拡大。短毛がまばらに生える。 |
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↑Fig.6 上部の茎と葉。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.10/19) 茎には上向きの短毛があり、最上部の葉には葉柄がない。 |
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↑Fig.7 開花したキクアザミ。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.10/19) ふつう9〜10月に開花し、頭花は散房状につくが、花柄は短い。 |
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↑Fig.8 頭花。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.10/19) 頭花は全て両性の筒状花からなり、花冠は長さ11〜13mm。 総苞は長さ12〜13mm、幅4〜5mm、多少ともくも毛がある。総苞片は5〜7列で、最外片は長楕円形〜卵形、先は急に短く尖る。 |
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↑Fig.9 果実形成期。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.11/16) |
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↑Fig.10 熟した花序。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.11/16) 冠毛は短くて目立たず、単に頭花が枯れているように見える。 |
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↑Fig.11 冠毛と痩果。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.11/16) 冠毛は長さ3〜4mmで、堅く、開出しない。痩果は長さ2.5〜3mm、倒長卵形、暗褐色。 |
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↑Fig.12 痩果。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.11/16) 横断面はレンズ形、4個の太い隆条があるほか、全体に微細な縦じわがある。 |
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↑Fig.13 若い個体の葉。(兵庫県阪神地方・休耕田の土手 2014.9/27) |
生育環境と生態 |
Fig.14 高原の草地に生育するキクアザミ。(兵庫県但馬地方・高原の草地 2016.10/19) 高原の草刈りの行われているススキ草地でキクアザミが数個体生育していた。 キクアザミは草原環境の遷移により、各地で減少傾向にあり、絶滅危惧種に指定されていることが多い。 同所的にワラビ、シシガシラ、サルトイイバラ、ノイバラ、ナガバモミジイチゴ、ミツバアケビ、ヤマハギ、メドハギ、オトギリソウ、コスミレ、 ワレモコウ、ミツバツチグリ、オトコエシ、ツリガネニンジン、シラヤマギク、ノコンギク、アキノキリンソウ、サワヒヨドリなどが見られた。 |