コタニワタリ Asplenium scolopendrium  L.
  山地・着生シダ チャセンシダ科 チャセンシダ属
Fig.1 (兵庫県丹波市・落葉広葉樹林下 2011.3/29)

Fig.2 (兵庫県篠山市・渓流護岸の石垣 2014.2/26)

山地の日陰林下の湿った岩上、岩壁、石垣などに生育する常緑性シダ。
根茎は短く、斜上し、葉を叢生する。鱗片は披針形〜線状披針形、長さ3〜6mm、幅1〜1.5mm、淡褐色、膜質。
葉柄は長さ3〜20cm、褐色〜暗褐色、やや密に鱗片がある。
葉身は単葉で披針形、鋭頭〜鋭尖頭、長さ12〜50cm、幅1.5〜6cm、下部はやや狭くなり、基部は心形、両側に耳片をつくり、
葉質はやや多肉質、緑色、、下面には鱗片があり、全縁でやや波状ににかわ質の薄膜がある。
葉脈は遊離し、叉状に分岐して平行に並び、先端は辺縁に達しない。
胞子嚢群(ソーラス)は長さ4〜18mm、中肋に直角に近い広い角度でつき、線形。
苞膜は向かい合ってつき、若い時には重なり合う。

【メモ】 これまで見たコタニワタリは古い砂防ダムや、渓流の古い護岸などに生育するもので、本来は石灰岩地を好むのかもしれない。
     丹波地方ではよく見かけるが、西宮市内では少なく、古い砂防ダム壁面に1株のみ確認した。
近縁種 : クモノスシダ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 南千島、朝鮮半島、中国、ソ連〜ヨーロッパ、北アメリカ
■生育環境:山地の日陰林下の湿った岩上、岩壁、石垣など。

Fig.3 全草標本。(兵庫県篠山市・渓流畔の石垣 2011.3/8)
  根茎から柄のある披針形の単葉を叢生する。葉質はやや多肉質、緑色。

Fig.4 根茎。(兵庫県篠山市・渓流畔の石垣 2011.3/8)
  根茎は斜上し、枯れた葉の葉柄基部が生きたまま宿存し、根茎表面を被う。

Fig.5 葉柄基部の鱗片。(兵庫県篠山市・渓流畔の石垣 2011.3/8)
  鱗片は披針形〜線状披針形、長さ3〜6mm、幅1〜1.5mm、淡褐色、膜質。

Fig.6 葉身基部。(兵庫県篠山市・渓流畔の石垣 2011.3/8)
  葉身基部は心形、両側に耳片をつくる。

Fig.7 葉先と葉脈。(兵庫県篠山市・渓流畔の石垣 2011.3/8)
  葉先は鋭頭〜鋭尖頭。葉脈は遊離し、叉状に分岐して平行に並び、先端は辺縁に達しない。

Fig.8 葉裏の中肋。(兵庫県篠山市・渓流畔の石垣 2011.3/8)
  葉裏の中肋は中ほどまで褐色〜暗褐色を帯びることが多く、鱗片がまばらにつく。

Fig.9 胞子嚢群。(兵庫県篠山市・渓流畔の石垣 2011.3/8)
  胞子嚢群(ソーラス)は長さ4〜18mm、中肋に直角に近い広い角度でつき、線形。

Fig.10 苞膜は胞子嚢群の両側につく。(兵庫県篠山市・渓流畔の石垣 2011.3/8)

Fig.11 若い個体。(兵庫県篠山市・砂防ダム堰堤上 2011.3/8)

Fig.12 フィドルヘッド。(兵庫県篠山市・落葉広葉樹林下 2011.5/6)

生育環境と生態
Fig.13 渓流畔の古い石積みに着生するコタニワタリ。(兵庫県篠山市・渓流畔の石積み 2011.3/8)
古い大きな砂防ダムの脇につくられた石積みに多くの個体が着生していた。砂防ダムの壁面にも小型な個体が多数生育している。
石積みの間には他にヤブソテツ、ジュウモンジシダ、シャガ、ナキリスゲが見られた。

Fig.14 渓流畔の護岸の隙間に生育するコタニワタリ。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.3/8)
比較的新しい護岸の隙間に点々と若い個体がヤブソテツの仲間とともに生育している。
周辺は植林がすっかり伐採されて、日当たり良い環境となり、コタニワタリの葉は黄化して元気がない。
この集団はしばらくすると消えてしまうだろう。

Fig.15 落葉広葉樹林下に生育するコタニワタリ。(兵庫県丹波市・落葉広葉樹林下斜面 2011.3/31)
崖錐が堆積したと思われる礫の多い山腹斜面にある落葉広葉樹林下礫間に、コタニワタリの比較的大きな株が生育していた。
落葉広葉樹はカエデの仲間で、かつては植栽されていたもののようであり、林下にはシャガが群生している。
コタニワタリの見られた林床にはヤマエンゴサク、ニリンソウ、キバナノアマナ、カテンソウ、オドリコソウ、オオタチツボスミレ、
セントウソウ、ヤマネコノメソウ、ジャノヒゲなどが生育し、そばの流れの古い石垣護岸にはコタニワタリの小さな個体が着生していた。


最終更新日:7th.Aug.2014

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