クモノスシダ Asplenium ruprechtii  L.
  山地・岩上のシダ 兵庫県RDB Bランク種 チャセンシダ科 チャセンシダ属
Fig.1 (岡山県真庭市・岩上 2015.7/4)

山地の石灰岩の岩上、岩壁などに生育する常緑性シダ。好石灰性だが熔結凝灰岩や安山岩の岩場でも見られることもある。
根茎は短く、斜上からほぼ直立する。鱗片は披針形、長さ2〜3mm、幅0.5〜1mm、全縁、基部は幅広く、黒褐色で格子状。
葉柄は長さ0.5〜12cm、狭い翼があり、緑色で、基部は暗赤褐色。
葉身は単葉、ほぼ全縁、狭披針形〜狭3角形、長さ2〜20cm、幅1〜2cm、先端はしだいに細くなってつる状に伸び、先端近くで芽を出す。
葉身下部もしだいに狭くなり、基部はくさび形となる。中肋は下面で隆起、葉脈はまばらに結合し、遊離小脈のない網目をつくる。
胞子嚢群は長さ1〜5mm、やや不規則に散在し、膜質でほぼ全縁の包膜がある。染色体数n=36,2n=72の2倍体。

【メモ】 基本的に好石灰性シダなので、石灰岩地の少ない兵庫県では稀。隣の岡山県では石灰岩地が多いためふつうに見られる。
近縁種 : コタニワタリ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国東北部、ソビエト東部
■生育環境:山地の石灰岩の岩上、岩壁など。

Fig.2 全草標本。(岡山県真庭市・岩上 2015.7/4)
  根茎から柄のある単葉を叢生する。右の葉の伸びた葉先には小さな無性芽が見える。

Fig.3 根茎と基部。(岡山県真庭市・岩上 2015.7/4)
  根茎はほぼ直立している。基部付近は鱗片におおわれている。

Fig.4 葉身。(岡山県真庭市・岩上 2015.7/4)
  葉身は単葉、全縁、狭披針形〜狭3角形、長さ2〜20cm、幅1〜2cm、先端はしだいに細くなってつる状に伸びる。

Fig.5 葉裏。(岡山県真庭市・岩上 2015.7/4)
  中肋は下面で隆起する。胞子嚢群は長さ1〜5mm、やや不規則に散在する。

Fig.6 包膜は膜質でほぼ全縁。(岡山県真庭市・岩上 2015.7/4)

Fig.7 伸びた葉先付近についた無性芽。(岡山県真庭市・岩上 2015.7/4)

Fig.8 岩上のコケに定着した無性芽。(岡山県真庭市・岩上 2015.7/4)
  画像中央に伸びた葉先から岩上に定着した2個の無性芽が見える。

生育環境と生態
Fig.9 石灰岩の岩上に着生するクモノスシダ。(岡山県真庭市・岩上 2015.7/4)
渓谷に沿ったやや多湿な蘚類に覆われた岩上に、多数のクモノスシダが着生していた。
岩上には画像中に見えるヒメカナワラビの他、コバノヒノキシダ、コタニワタリ、サジラン、ノキシノブ、マメヅタ、イヌワラビ、ウチワゴケ、
コウヤコケシノブ、ホソバコケシノブなどが見られた。


最終更新日:1st.Dec.2015

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