コツクバネウツギ | Abelia serrata Siebold et Zucc. | ||
里山・疎林・林縁の植物 | スイカズラ科 ツクバネウツギ属 |
Fig.1 (西宮市・雑木林の林縁 2010.5/27) 丘陵〜山地、里山の林縁や疎林内に生育する落葉低木。 ふつう高さ2〜3m、密に分枝する。樹皮は灰色で、不規則に裂ける。 芽は卵形で、長さ2〜3mm、ふつう3対の鱗片葉をもつ。若枝は細長く、赤褐色まれに緑色、わずかに細毛があるか無毛。 葉は卵形〜卵状披針形、長さ1.5〜5cm、幅7〜20mm、先は鋭尖形で鈍頭に終わる。 基部はくさび形、わずかに不規則な鋸歯があるか、またはほぼ全縁、縁に短毛があり、表面は光沢があり、わずかに毛があるか無毛。 裏面にはごくわずかに細点があり、主脈の基部付近および脈腋には開出する硬毛がある。側脈は1〜2対で斜上する。葉柄は長さ1〜3mm。 花は若枝の先に、ふつう2〜6個つき、共通花柄がある。花はほぼ無柄で、長さ1.5〜2.5mmの苞と小苞がある。 萼片は2ときに3(〜4)個、長楕円形〜倒卵形、長さ5〜9mm、鈍頭あるいは凹頭ときに2裂する。 花冠は2唇状、長さはふつう10〜20mm、稀に30mmに達し、黄白色または黄色、ときに外面は淡紅色を帯び、喉部の内側は有毛、橙色の網目がある。 筒部は漏斗状で、しばしば曲がり、中部から先に向かって扁平になる。花冠裂片は5個、卵形、長さ2〜3mm。 雄蕊4個で2強雄蕊、長いものは花筒とほぼ同長。雌蕊は花筒からわずかに突き出し、柱頭は円盤状。 果期は9〜10月、痩果は細く、長さ8〜10mm、両端は細まり、多少扁平で、縦に稜があり、わずかに毛があるか無毛。 近縁種 : ツクバネウツギ、 オオツクバネウツギ ■分布:本州(静岡県以西)、四国、九州 ■生育環境:丘陵〜山地、里山の林縁、落葉広葉樹の疎林内など。 ■花期:5〜6月 |
||
↑Fig.2 樹幹。(西宮市・雑木林の林縁 2011.2/25) 樹皮は灰色で、不規則に裂ける。 |
||
↑Fig.3 若枝。(西宮市・雑木林の林縁 2010.5/27) 若枝は細長く、赤褐色まれに緑色、わずかに細毛があるか無毛。 |
||
↑Fig.4 葉。(西宮市・雑木林の林縁 2010.5/27) 葉には短い葉柄があり、葉身は卵形〜卵状披針形、先は鋭尖形で鈍頭に終わる。 側脈は1〜2対で斜上し、葉縁には不規則な鋸歯が少数あり、短毛が生える。 葉表には短毛がまばらに生え、裏面脈上にも短毛が生えていた。 |
||
↑Fig.5 開花したコツクバネウツギ。(西宮市・雑木林の林縁 2010.5/27) 花は若枝の先にふつう2〜6個集まってつく。密に分枝するため、満開になると目立つ。 |
||
↑Fig.6 花。(西宮市・雑木林の林縁 2010.5/27) 萼片はふつう2個ときに3個、まれに4個、長楕円形〜倒卵形、開出し、鈍頭あるいは凹頭ときに2裂する。 花冠は2唇状、長さはふつう10〜20mm、黄白色または黄色、ときに外面は淡紅色を帯びる。 筒部は漏斗状で、しばしば曲がり、中部から先に向かって扁平になる。花冠裂片は5個、卵形。 花筒の喉部の内側は有毛、橙色の網目がある。 雄蕊4個で2強雄蕊、長いものは花筒とほぼ同長。雌蕊は花筒からわずかに突き出し、柱頭は円盤状。 |
||
↑Fig.7 満開のコツクバネウツギ。(兵庫県三田市・雑木林の林縁 2008.5/27) |
||
↑Fig.8 訪花したセダカコガシラアブの仲間。(兵庫県篠山市・林道脇 2013.5/24) 口吻が非常に長く、体長と同じような長さがあり、コツクバネウツギの蜜腺にまで届く。幼虫はクモに寄生するという。 この日は口吻を長く伸ばすことのできるコマルハナバチも訪花していた。 |
生育環境と生態 |
Fig.9 雑木林の林縁で開花するコツクバネウツギ。(西宮市・雑木林の林縁 2010.5/9) コナラ−アカマツ林の林縁部にコバノミツバツツジ、リョウブ、ヒサカキ、ソヨゴ低木、イヌツゲ、ヒメコウゾなどとともに生育している。 |