コバノイシカグマ | Dennstaedtia scabra (Wall. ex Hook.) Moore | ||
里山・山地・林床・林縁のシダ | コバノイシカグマ科 コバノイシカグマ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) | ||
Fig.2 (兵庫県朝来市・植林地の林床 2011.6/19) 山地や里山の林床や林縁に生育する常緑または夏緑性の中型シダ。 根茎は長く匍匐し、径約4mm、淡褐色、長さ2〜4mmの節のある毛がある。 葉は1cmくらいの間隔を置いて根茎の背側につき、葉柄はやや光沢のある赤褐色〜紫褐色、長さ15〜50cm、向軸側(表面)に溝があり、 全面に毛があるが、毛が落ちたあとは基部が残ってざらつく。 葉身は3角状楕円形、3〜4回羽状複葉、長さ20〜60cm、幅15〜35cm、黄緑色でややかたい草質、両面にやや粗い毛がある。 中軸は赤褐色、向軸面に溝があり、粗い毛がやや密につく。羽片は最下のものが最大で3角状、中部のものは広披針形〜狭長楕円形、 先端は尾状、基部は左右非対称のくさび形で柄がある。小羽片は卵状長楕円形、大きいもので長さ6cm、幅2.5cm。 裂片は長楕円形、円頭〜鈍頭、基部は非対称なくさび形で無柄、長さ約1.5cm、幅約8mm、羽状に2/3くらい切れ込み、歯片はへら形で円頭。 胞子嚢群は葉縁につき、苞膜はコップ状で無毛。 近縁種 : イヌシダ ■分布:本州(東北地方中部以南)、四国、九州 ・ 朝鮮半島、台湾、中国中南部、南アジア、インドシナ、マレーシア西部 ■生育環境:山地や里山の林床や林縁など。 |
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↑Fig.3 全草標本。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) 匍匐する根茎がある。葉身は3角状楕円形、3〜4回羽状複葉、長さ20〜60cm、幅15〜35cm、黄緑色でややかたい草質。 |
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↑Fig.4 根茎と葉柄基部。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) 根茎には節のある毛がある。葉柄はやや光沢のある赤褐色〜紫褐色、毛がある。 左側の葉柄は前年の枯れたもの。 |
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↑Fig.5 葉柄の毛。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) 葉柄の毛は少しずつ脱落するが、毛の基部のコブ状の部分が残り、ざらつく。 |
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↑Fig.6 中軸や羽軸の向軸面には溝があり、毛が生える。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) |
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↑Fig.7 羽片。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) 羽片は最下のものが最大で3角状。 中部のものは広披針形〜狭長楕円形、先端は尾状、基部は左右非対称のくさび形で柄がある。小羽片は卵状長楕円形。 |
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↑Fig.8 小羽片。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) 裂片は長楕円形、円頭〜鈍頭、基部は非対称なくさび形で無柄、羽状に2/3くらい切れ込み、歯片はへら形で円頭または鈍頭。 |
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↑Fig.9 小羽片の裏面。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) 胞子嚢群(ソーラス)は葉縁につく。 |
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↑Fig.10 苞膜。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) 苞膜はコップ状で無毛。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 社寺裏山の林縁斜面に生育するコバノイシカグマ。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) 丹波地方ではシカの食害によって植生が貧相な場所が増えつつあるが、社寺周辺には古くからの植生が残っている場所が多い。 ここでは半日陰の場所にコバノイシカグマ、ヤワラシダ、シシガシラ、クサイチゴ、ツルマメ、ツルウメモドキ、ノブドウ、ツルリンドウなどが、 日陰ではイノデ、ヤブソテツ、オオキジノオなどが生育していた。 |
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Fig.12 まばらな植林地の林床に群生するコバノイシカグマ。(兵庫県篠山市・林床 2011.7/8) 半日陰の植林地林床の湿った場所にヤワラシダ、イワヒメワラビなどとともに生育し、群生していた。 |