ミヤマジュズスゲ | Carex dissitiflora Franch. | ||
山地・林縁・林床の植物 | カヤツリグサ科 スゲ属 ミヤマジュズスゲ節 |
Fig.1 (兵庫県丹波市・山地の渓流畔 2011.5/7) |
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Fig.2 (兵庫県香美町・高原の棚田 2011.5/26) 山地の湿った林縁や林床、渓流畔に生育する多年草。 根茎は短く、密に叢生する。葉はやわらかく鮮緑色で、幅3〜7mm。 有花茎は高さ40〜80cm。小穂は全て雄雌性で、各苞に1〜2個つき、ときに果胞の先から枝を出し、その先に小穂をつけることがある。 苞は葉状で鞘を持つ。果胞は長さ10〜12mm、嘴はいちじるしく長く、細脈があって無毛。柱頭は3岐する。 ヤマジスゲ(C. bostryhostigma)に似るが、ヤマジスゲは頂小穂が雄性、側小穂は雌性となる点で異なる。 近縁種 : ヤマジスゲ ■分布:北海道、本州、四国、九州 、南千島 ■生育環境:山地の湿った林縁や林床、渓流畔など。 ■果実期:5〜6月 |
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↑Fig.3 全草標本。(兵庫県丹波市・山地の渓流畔 2011.5/7) 根茎は短く、密に叢生する。葉はやわらかく鮮緑色。 |
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↑Fig.4 基部。(兵庫県丹波市・山地の渓流畔 2011.5/7) 根茎は下方で枯れた古いものが残り、上部の生きている新しい根茎と堅くつながり、叢生した株となる。 画像は標本用に下方の枯れた根茎部で分割したもの。基部の鞘は淡色。 |
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↑Fig.5 茎と葉。(兵庫県丹波市・山地の渓流畔 2011.5/7) 葉はイネ科のようにやわらかい。花茎は3稜形でカヤツリグサ科の特徴が出る。 葉鞘は茎をややゆるく包み、葉鞘の口部の向軸側には葉耳状となる部分も見られ、イネ科と間違えやすい。 |
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↑Fig.6 有花茎。(兵庫県丹波市・山地の渓流畔 2011.5/7) 有花茎は高さ40〜80cm。頂小穂と側小穂が付く。 矢印の雌花の果胞からは、新たな小穂を生じている。 |
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↑Fig.7 頂小穂。(兵庫県丹波市・山地の渓流畔 2011.5/7) 小穂は頂小穂も側小穂も全て雄雌性。ヤマジスゲは頂小穂は雄性、側小穂は雌性となる点で区別できる。 頂小穂は側小穂と比べてかなり長いものが多く、雄花部は長く、雌花部は下方に向かうにつれてまばらとなっている。 |
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↑Fig.8 頂小穂の雄花部。(兵庫県丹波市・山地の渓流畔 2011.5/7) 雄花部はやや棍棒状。雄鱗片は中肋が緑色で、周囲は半透明な白色。 |
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↑Fig.9 頂小穂の雌花部。(兵庫県丹波市・山地の渓流畔 2011.5/7) 果胞は長さ10〜12mm、嘴はいちじるしく長く、細脈があって無毛。柱頭は3岐する。雌鱗片は雄鱗片と同様。 |
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↑Fig.10 下方の側小穂。(兵庫県丹波市・山地の渓流畔 2011.5/7) 雄雌性で、短い数花からなる雄花部とその下に数個の雌花からなる雌花部がある。 苞は鞘を持ち、下方の側小穂の苞葉は小穂よりも長い。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 渓流畔の水際に生育するミヤマジュズスゲ。(兵庫県丹波市・渓流畔 2011.5/7) 山地の渓流畔の岩の隙間に生育しており、根茎はまるでナルコスゲのように隙間深くに入り込み、標本を採集し難かった。 渓流畔にはミヤマシラスゲ、タニガワスゲ、ホソイ、ヌカボシソウ、オオバタネツケバナ、タニギキョウ、オオタチツボスミレ、ヨシノアザミ、 ニシノヤマクワガタなどが見られた。 |
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Fig.12 高原の棚田の畦に生育するミヤマジュズスゲ。(兵庫県香美町・棚田の畦 2011.5/26) 冬期はおそらくスキー場の一部となると思われる棚田の畦に数多くのミヤマジュズスゲが生育していた。 山からは渓流が流下し、その水が用水路に取り入れられ、用水路脇にはセリ、オオバタネツケバナ、カキドオシなどに混じって、キンキカサスゲ、 ハダカコンロンソウ、ワサビ、オタカラコウ、ダイオウの1種、サワアザミ、ゴマナ、サンインネコノメ、チャルメルソウなどが生育している。 その植生は水田の畦畔雑草から山地の湿地に生育するもの、山地渓流畔にみられるものなどが混生し興味深い。 |