ナンバンギセル Aeginetia indica  L.
  里山・草地の植物 ハマウツボ科 ナンバンギセル属
Fig.1 (京都府綾部市・溜池土堤 2013.8/19)
山野の草地などに生育する、1年生の寄生植物。国内ではふつうススキに寄生する。
全体に無毛。茎はごく短く、ほとんど地上には出ず、黄褐色で、狭3角形の鱗片状で長さ5〜10mmの葉をまばらにつける。
花柄は鱗片葉の葉腋から伸び、その先に横を向いた大きな花を1個つける。
萼は先が尖り、長さ1.5〜3cm、やや肉質で淡紅紫色の条がある。
花冠は、淡紅紫色で長さ3〜5cm、筒部は長く、裂片はふつう全縁。
刮ハは卵球形で長さ1〜1.5cm。種子は非常に小さく、長さ0.2〜0.3mm。

オオナンバンギセルA. sinensis)は山地の草原に生え、萼の先は鈍頭で長さ3〜5cm、花冠裂片の縁には細かい歯牙がある。本州〜九州。
近縁種 : オオナンバンギセル

■分布:北海道、本州、四国、九州、沖縄 ・ 中国中南部、台湾、インドシナ、マレーシア、インド
■生育環境:里山や低山の草地。
■花期:7〜9月

Fig.2 花。(京都府綾部市・溜池土堤 2013.8/19)
  萼は先が尖り、長さ1.5〜3cm、やや肉質で淡紅紫色の条がある。
  花冠は太い筒状で内曲し、先は浅5裂して唇形、淡紅紫色で長さ3〜5cm、筒部は長く、裂片はふつう全縁。
  オオナンバンギセルは萼の先は鈍頭、長さ3〜5cmとなる。

Fig.3 花筒の中をのぞく。(兵庫県小野市・溜池畔の草地 2014.9/23)
  微毛のある大きな柱頭が楯状となってさえぎる。

Fig.4 花筒の横断面。(兵庫県小野市・溜池畔の草地 2014.9/23)
  雄蕊は4個あり、大きな葯を持ち、花筒内側下面から2個、花筒内側側面から2個が出て、柱頭の後方でそれぞれの葯が合着している。

Fig.5 刮ハ。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2014.11/11)
  刮ハは卵球形で、裂開せず、ラン科のように側面にスリットができて種子が少しずつこぼれていく。

Fig.6 種子。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2014.11/11)
  種子は楕円形、非常に小さくて長さ0.2〜0.3mm、黄褐色。

Fig.7 種子の拡大。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2014.11/11)
  表面には不定形の網目模様があり、その網目内側に横長の格子模様がある。

生育環境と生態
Fig.8 溜池土堤に生育するナンバンギセル。(京都府綾部市・溜池土堤 2013.8/19)
里山の小さな溜池の土堤外側のススキの株元に、沢山のナンバンギセルが出ていた。
比較的二次的自然度が高い場所で、ススキ、チガヤ、ヨモギ、セイタカアワダチソウに混じってスズサイコ、オミナエシ、ヒヨドリバナ、
ワレモコウ、ノダケ、キキョウ、リンドウ、カナビキソウなどの草原性植物が数多く生育していた。


最終更新日:15th.Nov.2014

<<<戻る TOPページ