ラショウモンカズラ Meehania urticifolia  Makino
  里山・林縁の植物 シソ科 ラショウモンカズラ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・植林地の林縁 2011.5/6)

Fig.2 (兵庫県篠山市・社寺林 2013.5/13)

低山〜山地、里山の林縁や林床に生育する多年草。
花茎は直立または斜上し、高さ20〜30cm、長毛がまばらに生える。
全体に香気があり、開花後あるいは開花中に、長い走出枝が下部から伸びる。
葉は2〜3cmの葉柄があり、3角状心形で長さ2〜5cm、幅2〜3.5cm、粗い鋸歯があり、基部は心形。
萼は筒状で長さ約13mm、15脈があり、まばらに開出毛が生え、先は斜めに5浅裂する。
花冠は紫色で、長さ4〜5cm、下唇の中央裂片は大きく、下方に反り返って、2浅裂し、濃紫色の模様がある。
花冠喉部の先端には開出する長毛が生える。分果は長さ約3mm、まばらに細毛がある。
近縁種 : オチフジ

■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国東北部
■生育環境:低山〜山地、里山の林縁、林床など。
■花期:4〜5月

Fig.3 花茎。(兵庫県丹波市・林縁 2011.4/29)
  花茎は4角柱状で、長毛がまばらに生えている。

Fig.4 葉。(兵庫県篠山市・植林地の林縁 2011.5/6)
  葉は2〜3cmの葉柄があり、3角状心形で、粗い鋸歯があり、基部は心形。
  葉はちぎって揉むと、レモンエゴマに似た香りを放つ。

Fig.5 花穂。(兵庫県篠山市・植林地の林縁 2011.5/6)
  茎頂に少数の花がつく仮輪が、まばらに花穂状に連なる。花はふつう一方向に向いてつく。

Fig.6 仮輪。(兵庫県篠山市・植林地の林縁 2011.5/6)
  対生する苞葉の葉腋に、それぞれ1個の集散花序がつく。1つの集散花序は1〜3花からなることが多い。

Fig.7 最下の仮輪の苞葉。(兵庫県丹波市・林縁 2011.4/29)

Fig.8 開花したラショウモンカズラ。(兵庫県丹波市・林縁 2011.4/29)
  花冠の長さは4〜5cmと大きく、暗い林下でも良く目立つ。

Fig.9 花冠。(兵庫県篠山市・林縁草地 2011.5/4)
  上唇は短く、2裂する。下唇は3裂し、中央裂片は大きく、下方に反り返って、2浅裂し、濃紫色の模様がある。
  花冠喉部の先端には開出する長毛が生える。完全雄蕊4個は、斜上して上唇の下側に並ぶ。雌蕊の柱頭は2裂して開く。

Fig.10 横から見た花冠。(兵庫県篠山市・林縁 2011.5/6)
  花冠の筒部上半の背面はいちじるしくふくらむ。

Fig.11 萼。(兵庫県丹波市・林縁 2011.4/29)
  萼は筒状、15脈があり、まばらに開出毛が生え、先は斜めに5浅裂する。
  花冠の筒部は萼筒よりもかなり細い。

Fig.12 走出枝を伸ばすラショウモンカズラ。(兵庫県篠山市・林縁 2011.5/16)
  開花中から走出枝は伸び始め、開花後期や花後には長く伸びてよく目立つ。走出枝の節間は長く、葉を対生する。

Fig.13 早春の草体。(兵庫県篠山市・林縁 2013.3/30)
  常緑越冬し、茎を地表に這わせ、紅葉した葉を数枚つけている。

生育環境と生態
Fig.14 林縁の岩上に生育するラショウモンカズラ。(兵庫県丹波市・林縁 2011.4/29)
岩上の岩棚に多くのラショウモンカズラが開花していた。
岩上の岩棚には腐植質が堆積し、トキワイカリソウ、イチリンソウ、オオタチツボスミレ、ナガバノタチツボスミレ、ユリワサビ、ジュウモンジシダ、
チャセンシダなどとともに生育している。

Fig.15 林縁に群生するラショウモンカズラ。(兵庫県篠山市・社寺林 2013.5/13)
スギ林のやや湿った林縁から明るい林床にかけて、ラショウモンカズラが群生していた。
ここではムロウテンナンショウ、ミヤマカンスゲ、ニシノホンモンジスゲ、タマツリスゲ、ギンラン、ハナウド、シシウド、ヤブニンジン、
セントウソウ、ミヤマカタバミ、ムラサキケマン、オオバタネツケバナ、クサイチゴ、ミヤマフユイチゴ、ウマノアシガタ、ヤエムグラ、
オオバノヤエムグラ、ヨツバムグラ、ツルカノコソウ、カキドオシ、フユノハナワラビ、イワガネソウ、オオキヨズミシダ、クマワラビ、
ナンゴクナライシダ、コバノイシカグマ、イワヒメワラビなどとともに生育している。


最終更新日:20th.Oct.2014

<<<戻る TOPページ