サラシナショウマ | Cimicifuga simplex Wormsk. | ||
山地・草原・林縁の植物 | キンポウゲ科 サラシナショウマ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/10) |
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Fig.2 (兵庫県香美町・林縁 2009.9/21) 山地の草原、林縁、落葉広葉樹の疎林などに生育する多年草。 茎は高さ40〜150cmで、上部には細い白毛が生える。 根生葉と茎下部の葉は大きく、茎に互生してつき、3回3出複葉、葉柄基部は鞘状となる。 小葉は卵形で長さ3〜8cm、しばしば3裂し、鋭頭または鋭尖頭、不揃いな鋭い欠刻状の鋸歯があり、両面に細い毛がある。 上部の茎葉は2〜3回3出複葉で、葉柄は短い。 花期には、単一または基部で分枝する長い総状花序を出し、花序には短い白い毛を密生する。 花には5〜10mmの柄があり、白色。萼片は広楕円形で長さ4〜5mm。花弁は長さ3〜5mm。雄蕊は多数で長さ5〜6mm、花糸の先は少し広がる。 雌蕊は2〜8個で柄があり、細かい毛があるか、または無い。ときに雌蕊は退化して雄花になる。花柱は1〜2mm。 袋果は長さ約1cmで、柄がある。種子には鱗片がある。 イヌショウマ(C. japonica)は葉が1〜2回3出複葉。花柄はなく、袋果の柄は短い。本州。 オオバショウマ(C. acerina)は葉が1回3出複葉、表面は辺縁部に短い毛があるほか無毛。小葉は長さ7〜20cm。花は無柄。本州〜九州。 近縁種 : イヌショウマ、 オオバショウマ、 キケンショウマ、 ルイヨウショウマ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ シベリア東部〜カムチャッカ、樺太、千島、朝鮮半島、中国 ■生育環境:温帯〜亜寒帯の草原や林縁、落葉広葉樹の疎林内など。 ■花期:8〜10月 |
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↑Fig.3 根生葉。(兵庫県香美町・林縁 2016.8/16) 根生葉と茎下部の葉は大きく、茎に互生してつき、3回3出複葉、葉柄基部は鞘状となる。 |
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↑Fig.4 小葉。(兵庫県香美町・林縁 2016.8/16) 小葉は卵形でしばしば3(〜5)浅裂〜中裂し、鋭頭または鋭尖頭、不揃いな鋭い欠刻状の鋸歯があり、両面に細い毛がある。 |
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↑Fig.5 茎上部の葉。(兵庫県香美町・林縁 2016.8/16) 上部の茎葉は2〜3回3出複葉で、葉柄は短い。 |
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↑Fig.6 花茎。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/10) 花茎は頂部に単一または基部で分枝する長い総状花序をつけ、途中の節からは柄のある側花序をつける。 花序は頂生しているものから開花し、次第に下方の花序に向かって開花が進んでいく。 |
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↑Fig.7 開花直前のつぼみをつけた花序。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/106) 花序には短い白い毛を密生する。花には柄があり、萼片は広楕円形。花柄は開花結実の過程で伸びていく。 |
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↑Fig.8 花序。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/10) 総状花序に柄のある白色の花が密につく。 |
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↑Fig.9 花。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/10) 花弁は長さ3〜5mm。雄蕊は多数で長さ5〜6mm、花糸の先は少し広がる。 雌蕊は2〜8個で柄があり、細かい毛があるか、または無い。ときに雌蕊は退化して雄花になる。花柱は1〜2mm。 |
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↑Fig.10 果実形成期の花序。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.11/13) 茎頂につく花序はほとんどが両性花であり、ないか雄花はごく少なく、結実率は高い。結実した花の花柄は上向きに曲がる。 側花序には両性花と雄花が混在するが、雄花の割合が多い。 |
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↑Fig.11 果実は袋果。(兵庫県香美町・林縁 2015.10/30) 袋果の先には花柱が宿存する。頂生する花序の両性花の雌蕊は2〜8個あるため、花序には袋果が密につく。 |
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↑Fig.12 春の草体。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2017.4/27) 根生葉はすでに展開していたが、すでにイヌショウマとの区別は可能である。展開前の新葉は全体に光沢がある。 |
生育環境と生態 |
Fig.13 明るい植林地の林床で生育するサラシナショウマ。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/10) サラシナショウマは山地の草原や開けた林縁に見られることが多いが、ここでは明るい植林地の林床に大型個体が点在していた。 林床では明るい場所に大型個体が多くみられ、薄暗い場所のものは小型のものが多く、同属のイヌショウマと混生しているが、本種の開花期は遅い。 林内の林床はやや湿度が高く、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、イノデ、サイゴクイノデ、アイアスカイノデ、イワガネゼンマイ、ベニシダ、 ナンゴクナライシダ、オニヒカゲワラビ、オオヒメワラビ、ホソバイヌワラビ、ヒロハイヌワラビ、ヤマイヌワラビ、ミゾシダ、シシガシラなどのシダ類、 ウバユリ、ヤマジノホトトギス、ナキリスゲ、ミヤマカンスゲ、ニシノホンモンジスゲ、ヒカゲスゲ、ミヤマフユイチゴ、ムカゴイラクサ、サンショウソウ、 ヤマトキホコリ、カテンソウ、ヤマネコノメソウ、ナガバノタチツボスミレ、シハイスミレ、ミヤマハコベ、ツルハコベ、ミヤマキケマン、イチリンソウ、 セントウソウ、ミヤマチドメ、ツルカノコソウ、ヤマルリソウ、ツルニガクサ、アキノタムラソウ、アキチョウジ、ミカエリソウ、ノブキ、ヨシノアザミ、 モミジガサなどが見られる。 |
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Fig.14 ススキ草原の沢近くに生育するサラシナショウマ。(兵庫県養父市・ススキ草原 2016.9/17) サラシナショウマはススキ草原中でも、野焼きや草刈りが行われる沢近くの適湿な場所に点在している。 ここではススキとオオアブラススキが優占し、この草原の常在種であるワラビ、イタドリ、シシウド、ハナウド、ウド、ヤマブキショウマ、オハラメアザミ、 ヨモギ、ススキ草原の湿潤な場所に多いスギナ、ドクダミ、シラネセンキュウ、ニョイスミレ、ゴマナ、オタカラコウ、ミゾソバなどとともに生育していた。 |