シノブカグマ Arachniodes mutica  (Fr. et Sav.) Ohwi
  山地・林床のシダ オシダ科 カナワラビ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・岩壁 2013.2/9)

Fig.2 (兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25)

山地の林床、岩壁などに生育する常緑性シダ。
根茎は短く、塊状で、鱗片があり、葉を叢生する。葉柄は短く、長さ15〜35cm、鱗片を密につける。
鱗片は卵状長楕円形〜披針形、淡褐色〜黒褐色、光沢があり、長さ0.5〜2.5cm、辺縁に不整な長い歯牙がある。
葉身は3回羽状全裂〜中裂、卵状長楕円形、長さ40〜60cm、幅15〜25cm、鋭尖頭。
葉質はやや厚い草質か紙質、表面は濃い緑色、裏面はやや白っぽい緑色。
中軸には黒色〜黒褐色の鱗片を密につける。羽片は短い柄があり、長さ10〜15cm。
小羽片は長楕円形、長さ2〜3.5cm、幅7〜12mm、羽状に全裂〜中裂する。裂片は菱状長楕円形、無柄で、浅い鋸歯縁。
ソーラスは葉面の上部から下部へと広がり、葉脈に頂生して裂片の辺縁寄りにつく。
苞膜は大きく、円腎形で不整の波状縁。染色体数n=41の2倍体。

【メモ】 兵庫県では丹波地方以北に分布し、但馬の山地には普通に見られる。
     県下南限の丹波地方では、樹林に覆われた北向き岩壁下部に生育している。
近縁種 : リョウメンシダ
■分布:北海道、本州、四国、屋久島 ・ 朝鮮半島、シベリア
■生育環境:山地の林床、岩壁など。

Fig.3 地上部標本。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.2/9)
  葉身は3回羽状全裂〜中裂、卵状長楕円形、鋭尖頭。その名の通り、シノブをそのまま大きくしたシダといった感じ。
  葉質はやや厚い草質か紙質、表面は濃い緑色、裏面はやや白っぽい緑色。

Fig.4 葉柄基部の鱗片。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.2/9)
  鱗片は卵状長楕円形〜披針形、淡褐色〜黒褐色、光沢があり、辺縁に不整な長い歯牙がある。

Fig.5 中軸の鱗片。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.2/9)
  中軸には黒色〜黒褐色の鱗片を密につける。羽片は短い柄がある。

Fig.6 小羽片と裂片。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.2/9)
  小羽片は長楕円形、羽状に全裂〜中裂する。裂片は菱状長楕円形、無柄で、浅い鋸歯縁。

Fig.7 ソーラス。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.2/9)
  ソーラスは葉面の上部から下部へと広がり、葉脈に頂生して裂片の辺縁寄りにつく。

Fig.8 新葉を展開中の個体。(兵庫県養父市・低木林下 2014.5/30)

生育環境と生態
Fig.9 岩壁下部に生育するシノブカグマ。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.2/9)
丹波地方の低地では、北向きの岩壁下部の樹木の陰となる、やや湿った場所に生育しているものが見られる。
ここでは同所的にカミガモシダ、ヌリトラノオ、トウゴクシダ、ナンゴクナライシダ、ジュウモンジシダ、ツルアリドオシなどが見られた。


最終更新日:18th.Nov.2014

<<<戻る TOPページ