チャルメルソウ Mitella furusei  Ohwi
  var. subramosa  Wakabayashi
  里山・山地・渓流の植物 ユキノシタ科 チャルメルソウ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/9)
低山〜山地、里山の渓流畔、湿った林床などに生育する多年草。
根茎は短く、根生葉を束生する。葉身は広卵形または卵形で、長さ1.5〜8cm、幅3〜5cm、基部は深い心形、ふつう鈍頭、
不整な鋸歯があり、両面には葉柄とともに粗い毛と腺毛が生える。葉柄は長さ2〜8cm。
花茎は高さ30〜50cmになり、下部には開出する長毛、上部には花柄とともに短腺毛があり、多数の花をやや間隔を置いてつける。
花柄は長さ1〜4mm、萼筒は浅い倒円錐形、萼裂片は卵状三角形で鋭頭、長さ約1.5mm、花時に直立し、外面には紅紫色の腺毛がある。
花弁は紅紫色を帯び、3または5裂、稀に6〜7裂し、外面に腺点があり、花時には反曲する。
花糸は葯よりも短い。裂開寸前の葯は淡黄色。花柱は2個で、紅紫色を帯び、柱頭は浅く2〜4裂する。
種子は長楕円形で、長さ約1.3mm、種皮は暗紅色を帯び、縦に微小な隆条がある。
近縁種 : コチャルメルソウ、 モミジチャルメルソウ、タキミチャルメルソウ、オオチャルメルソウ

■分布:本州(福井県、滋賀県、三重県以西)、九州(佐賀県、長崎県)
■生育環境:低山〜山地、里山の渓流畔、湿った林床など。
■花期:4〜5月

Fig.2 根生葉。(兵庫県篠山市・湿った岩壁 2011.2/6)
  葉身は広卵形または卵形で、基部は深い心形、ふつう鈍頭、不整な鋸歯がある。
  両面ともに粗い毛と腺毛が生える。葉面には鈍い光沢があり、淡色の斑を持つものが多い。
  冬期は根生葉を広げて、常緑越冬する。

Fig.3 若い葉。(兵庫県篠山市・渓流畔の倒木上 2011.2/6)
  若い葉では葉柄や葉面の白色の粗い毛がよく目立つ。

Fig.4 花茎とその拡大。(兵庫県丹波市・渓流畔 2010.5/14)
  花茎は高さ30〜50cmになり、上部には花柄とともに短腺毛があり、多数の花をやや間隔を置いてつける。
  右側の花は花後のもので、花弁は落ち、直立する萼裂片が目立つ。

Fig.5 チャルメルソウの花。(兵庫県篠山市・渓流畔 2009.4/3)
  花は横向きかやや下を向いてつく。
  萼筒は浅い倒円錐形。花弁は紅紫色を帯び、3または5裂、稀に6〜7裂し、外面に腺点があり、花時には反曲する。
  裂開寸前の葯は淡黄色。花柱は2個で、紅紫色を帯び、柱頭は浅く2〜4裂する。

Fig.6 果実期。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/16)
  花後、種子が熟すにつれて萼筒は上向きとなり、杯状に開いた萼筒の上に多数の種子が並ぶ。
  充分に熟した種子は、雨滴を受けて周囲に飛散する、雨滴散布によって生育領域を拡大する。

生育環境と生態
Fig.7 渓流畔に生育するチャルメルソウ。(兵庫県丹波市・渓流畔 2010.5/14)
山間の渓流畔にミズタビラコ、ニシノホンモンジスゲなどとともに生育している。
周辺にはトウゴクサバノオ、サンショウソウ、ヒメレンゲ、オオバチドメ、ミヤマカンスゲ、タチネコノメソウなどが見られた。

Fig.8 渓流の岩上に生育するチャルメルソウ。(兵庫県篠山市・渓流 2011.4/29)
チャルメルソウは湿った林床や岩上に見られるが、渓流畔に現われることが最も多い。ここでは山間の渓流の岩上に群生している。
周辺にはトウゴクサバノオ、ニッコウネコノメ、ミズタビラコ、サワハコベ、マルバコンロンソウ、ミヤマカンスゲ、オクノカンスゲなどが見られた。


最終更新日:9th.May.2011

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