ヤブウツギ Weigela floribanda  (Siebold & Zucc.) K.Koch.
  山地・林縁・渓流畔の植物 スイカズラ科 タニウツギ属
Fig.1 (西宮市・渓流畔 2009.5/28)
山地のやや湿った林縁や渓流畔などに生育する落葉低木。
高さ2m以上になり、全体密に軟毛がはえる。
葉は対生し、長さ3〜5mmの葉柄があり、葉身は楕円形または卵形で、長さ9cm前後、幅4cm前後、鋭頭、基部はくさび形。
葉の表面にはまばらに毛があり、裏面には密に汚白色の軟短毛があり、主脈上の毛は開出する。
花は当年枝に頂生または腋生し、常に濃紅色で、時間的な花色の変化はない。
萼筒には密に毛があり、裂片は5個で細く狭い。花冠は斜開し、鐘状漏斗形、長さ3cm前後、外面に密に軟短毛があり、筒部は上にむかって
次第に広がるが、裂片は充分に展開しない。
雄蕊5個。柱頭は白色で花筒よりも超出する。刮ハは長楕円形で、外面に密に毛が生え、長さ2cm前後、展開すると翼のある微小な種子を出す。

【メモ】 兵庫県下では六甲山系にタニウツギとともに多産し、他の地域では稀産種という特異的な分布を示す。
     六甲山系では、開花期はタニウツギよりも若干遅い。
近縁種 : ハコネウツギ、ニシキウツギ、 タニウツギ、 ビロウドウツギ

■分布:本州(東京都以西の太平洋岸)、四国
■生育環境:湿った林縁や渓流畔など。暖温帯域。
■花期:5〜6月

Fig.2 若枝。(西宮市・林道脇 2010.6/14)
  開花期の若枝は赤味を帯びるものが多い。枝には開出毛が生え、葉柄にも同様の毛が見られる。

Fig.3 葉。(西宮市・林道脇 2010.6/14)
  葉は対生し、有柄、葉身は楕円形または卵形で、鋭頭、基部はくさび形。

Fig.4 開花期。(西宮市・林道脇 2010.6/14)
  花は当年枝に頂生または腋生する。画像のものは昨年に伸びた徒長枝から分枝した、当年枝から開花したもの。

Fig.5 ヤブウツギの花。(西宮市・渓流畔 2007.5/24)
  花冠は中5裂するが、充分に開かずに斜開する。
  画像の周囲の薄い色の葉もウツギのもので、左下に見える果実は、前年のウツギのもの。

生育環境と生態
Fig.6 渓流畔に生育するヤブウツギ。(西宮市・渓流畔 2010.6/14)
ヤブウツギは日当たり良い場所を好む。したがってよく見られるのは林道脇や渓流畔などとなる。
ここでは渓流畔にウツギ、タニウツギ、キブシ、ナガバモミジイチゴ、クマイチゴ、オオバヤシャブシなどとともに見られた。
タニウツギは既に花期を終えており、ヤブウツギも開花終り近く、ウツギが満開となっていた。



最終更新日:17th.Feb.2011

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