ヤマジノギク | Aster hispidus Thumb. | ||
草地・崩壊地の植物 | キク科 シオン属 |
Fig.1 (西宮市・崩壊地 2010.11/1) 日当たり良い乾いた草地、崩壊地、岩山などに生育する越年草。 茎は高さ30〜100cm、よく分枝して、曲がった毛があるか、ときにほとんどない。 根生葉は花時には枯れるが、倒披針形で、長さ7〜13cm、幅10〜15mm、基部はしだいに狭くなって、有翼の葉柄となり、 縁に内曲する鋸歯と毛があり、両面に毛を散生する。 茎につく葉は倒披針形から線形、長さ5〜7cm、幅4〜20mm、基部はしだいに狭くなる。上部の葉は線形。 花は茎上部から出た枝の先にゆるい散房状に頭花をつける。頭花は径3.5cm内外。 総苞は長さ7〜8mm、皿状に開出し、総苞片は2列、革質で同長、鋭尖頭。筒状花は長さ5〜7mm。 痩果は扁平な倒卵形、長さ2.5〜3mm。舌状花の冠毛は白色で、長さ0.5mm。筒状花の冠毛は赤褐色を帯び、長さ3.5〜4mm。 【メモ】 兵庫県下では山間の崩壊地や乾いた岩山の草地で見られることが多い。 他府県では石灰岩地に見られることも多いようである。 近縁種 : ハマベノギク、 ヤナギノギク ■分布:本州(東海地方以西)、四国、九州 ・ 朝鮮半島・中国 ■生育環境:日当たりよい乾いた草地、崩壊地、岩山など。 ■花期:9〜11月 |
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↑Fig.2 根生葉。(西宮市・崩壊地 2009.11/26) 越年草で冬期は根生葉のみの偽ロゼットとなって越冬し、翌年の開花期には枯れて消失する。 根生葉は倒披針形で細長く、基部に向かってしだいに狭くなり、翼のある葉柄へと流れる。 |
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↑Fig.3 茎上部と葉。(西宮市・崩壊地 2010.11/15) 茎には短い上向きの曲がった毛が生えている。 葉は茎に互生し、茎上部の葉は線形で、鈍頭、縁には内に曲がった毛が生えている。 茎下部の葉は、花時には根生葉とともに枯れ、脱落していることが多い。 |
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↑Fig.4 総苞。(西宮市・崩壊地 2010.11/15) 総苞は皿状で、片は2列あって、同長、開出して、短毛が生え、先は鋭くとがる。 黒い点はアリマキがついているもの。 |
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↑Fig.5 ヤマジノギクの花。(西宮市・崩壊地 2010.11/1) 舌状花は雌性花で白色、または淡紫色を帯びる。筒状花は黄色で両性花。 |
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↑Fig.6 花後の頭花。(西宮市・崩壊地 2010.11/1) 開出した総苞片がよく解る。冠毛はまだ開いていない状態である。 |
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↑Fig.7 結実した頭花。(西宮市・崩壊地 2010.11/15) 赤褐色を帯びた冠毛のついた痩果が花床に並ぶ。 |
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↑Fig.8 舌状花の冠毛(左)と筒状花の冠毛(右)。(西宮市・崩壊地 2010.11/15) 痩果につく冠毛には2通りあり、舌状花の冠毛はごく短く、白色。筒状花の冠毛は長い。 |
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↑Fig.9 痩果。(西宮市・崩壊地 2010.11/15) 左は舌状花の痩果。右は冠毛を取り除いた痩果。 痩果は扁平な倒卵形で、上向きの短毛が生え、縁が翼状となるものもあった。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 崩壊地の草地に生育するヤマジノギク。(西宮市・崩壊地 2010.11/1) 花崗岩の風化の激しい山腹斜面の風化した土砂の堆積した場所が草地の緩斜面となっており、ヤマジノギクがまとまって生育している。 同所的にメリケンカルカヤ、トダシバ、イヌツゲ、セイタカアワダチソウ、オオヒキヨモギ、センブリなどが生育し、 雨水による土砂の流入が続いている場所である。 |
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Fig.11 崩壊地の枯れ沢斜面に生育するヤマジノギク。(西宮市・崩壊地 2010.11/15) 画像中央に花後のヤマジノギクが見える。風化・崩落の激しい断層崖の周辺の枯れ沢周辺に点在して生育している。 風化した花崗岩である真砂土が表土となっている裸地には見られず、種子が定留し易い岩礫の陰や隙間に点在している。 このような場所ではパイオニア植物であるメリケンカルカヤ、ナガバモミジイチゴやオオバヤシャブシの幼木とともに見られる。 |