ヤマジノホトトギス | Tricyrtis affinis Makino | ||
里山・低山の植物 | ユリ科 ホトトギス属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・植林地の林縁 2015.9/10) 山野の林縁や林床に生育する多年草。茎は高さ30〜60cm、斜め下向きの毛がある。 葉は卵状楕円形〜狭長楕円形で、まばらに毛があり、先は急にとがり、長さ8〜18cm。 花は茎頂と葉腋に1〜2(〜4)個つき、長さ約2cm花柄には毛が多い。 花披片は白色で、ふつう紫色の斑点は少なく、下部に黄色の斑点がなく、上部は平開するが反曲しない。 花糸と花柱に紫色の斑点はない。 セトウチホトトギス(T. setouchiensis)は花披片下部に黄色の斑点があり、花柱と花糸に紫色の斑点がある。 ホトトギス(T. hirta)は花披片に紫色の斑点が多く斜開し、茎に斜上する毛が多い。 ヤマホトトギス(T. macropoda)は茎の毛は少なく、花披片が強く反り返り、花柱と花糸に紫色の斑点がある。 近縁種 : セトウチホトトギス、 ホトトギス、 ヤマホトトギス ■分布:北海道西南部、本州、四国、九州 ■生育環境:暖温帯の林縁や林床。 ■花期:8〜10月 |
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↑Fig.2 茎は高さ30〜60cmになる。(兵庫県篠山市・植林地の林縁 2015.9/14) |
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↑Fig.3 茎の毛は目立ち、斜め下向き。(兵庫県香美町・植林地の林床 2015.7/19) |
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↑Fig.4 葉。(兵庫県香美町・植林地の林床 2015.7/19) 葉は卵状楕円形〜狭長楕円形、先は急にとがり、長さ8〜18cm。まばらな毛があるが画像のように葉表がほぼ無毛のものもある。 葉柄はなく、葉身基部は茎を抱くものが多いが、抱かない葉もある。 |
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↑Fig.5 葉裏の脈上にはまばらな毛がある。(兵庫県香美町・植林地の林床 2015.7/19) |
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↑Fig.6 葉縁。(兵庫県香美町・植林地の林床 2015.7/19) 葉縁には微細な突起状の鋸歯が並んでいる。中肋上にはわずかに毛が見られる。 |
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↑Fig.7 開花中の個体。(兵庫県篠山市・植林地の林縁 2015.9/10) 花は茎頂と葉腋に1〜2(〜4)個つく。 |
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↑Fig.8 開き始めの花。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.9/14) 花柄は約2cm、毛や腺毛が生える。花披片の外面には腺毛があり、外花披片は幅広く、基部が球状にふくらむ。 |
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↑Fig.9 花。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.9/14) 花披片は白色で、ふつう紫色の斑点は少なく、下部に黄色の斑点がなく、上部は平開するが反曲しない。 花柱は3枚に分かれ、それぞれはさらに2裂し、縁に球状の突起をつける。花糸は外曲し、葯は外向き。 花糸と花柱に紫色の斑点はない。 |
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↑Fig.10 訪花したトラマルハナバチとコハナバチの仲間。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2015.7/19) |
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↑Fig.11 つぼみを摂食するルリタテハの幼虫。(兵庫県香美町・植林地の林床 2015.7/19) |
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↑Fig.12 刮ハ。(兵庫県香美町・植林地の林縁 2015.10/30) 刮ハは披針形で、熟すと先端から3裂する。 |
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↑Fig.13 種子。(兵庫県篠山市・植林地の林縁 2014.11/24) 種子は扁平な広卵形〜広楕円形、黒褐色、長さ1.5〜1.8mm。 |
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↑Fig.14 種子の拡大。(兵庫県篠山市・植林地の林縁 2014.11/24) 表面には長6角状の格子模様がある。 |
生育環境と生態 |
Fig.15 植林地の林床に生育するヤマジノホトトギス。(兵庫県篠山市・植林地の林縁 2014.9/14) ネザサの被植の少ない薄暗くやや高湿度の植林地の林床に、ヤマジノホトトギスが点在していた。 同所的にベニシダ、ヒロハイヌワラビ、カラクサイヌワラビ、ホソバイヌワラビ、キジノオシダ、ミゾシダ、フモトシダ、ナンゴクナライシダ、 ドクダミ、チダケサシ、ミヤマフユイチゴ、ミカエリソウ、ナンテン、コガクウツギ、ヤブハギ、ナガバノハエドクソウ、タニギキョウ、 マルバノホロシ、ホクリクタツナミソウ、コチヂミザサなどが見られた。 |
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Fig.16 伐採跡地に生育するヤマジノホトトギス。(兵庫県篠山市・伐採跡地 2015.9/10) 林道開削のために伐採された植林地跡に多数のヤマジノホトトギスが点在していた。 光条件がよくなったためか、大型の個体が多く、花の数も多い。 周辺にはベニシダ、オオマルバベニシダ、ヤマイタチシダ、ナンゴクナライシダ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、イノデ、イノデモドキ、 キヨスミヒメワラビ、ヒロハイヌワラビ、カラクサイヌワラビ、ヤマイヌワラビ、ホソバイヌワラビ、キジノオシダ、ミゾシダ、ゲジゲジシダ、 キヨタキシダ、オニヒカゲワラビ、シシガシラ、ドクダミ、チダケサシ、ミヤマカタバミ、ナガバノタチツボスミレ、シハイスミレ、ミヤマフユイチゴ、 ビロードイチゴ、ナガバモミジイチゴ、ニガイチゴ、コジキイチゴ、コガクウツギ、コアジサイ、ヌスビトハギ、ナガバノハエドクソウ、タニギキョウ、 コナスビ、ミヤマタゴボウ、オカトラノオ、トウゴクシソバタツナミ、チヂミザサなどが見られた。 |