ヒロハツボミゴケ Jungermannia exsertifolia  Steph. ツボミゴケ科 ツボミゴケ属
抽水〜沈水植物・苔類
Fig.1 (西宮市・疎水中 2015.2/12)

Fig.2 (西宮市・用水路 2015.2/27)

渓流や水路などで水にひたって群生する苔類。
灰緑色〜黒緑色。茎は陸生では1〜3cm、水中では5cm以上に伸び、這いまたは斜上する。仮根は少なく無色。
葉は重なり、斜めに茎につき、わずかに開出し、卵形、長さ1〜1.4mm、幅1mm前後。腹葉はない。
葉身細胞は20〜35μ、膜は一様にわずかに厚く、トリゴンはなく、表面にかすかなベルカがある。
油体は1細胞に2〜3個、卵形、7〜12μ、内部に多数の微粒を含む。
花披は棍棒状、上部にわずかに3溝があり、口部は急に狭まる。
近似種 : マイツボミゴケ、 キブリツボミゴケ、 ツボミゴケ、 ゴマダラツボミゴケ、 サイシュウソロイゴケ、 フジウロコゴケサワクサリゴケ
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■分布:北海道、本州、四国、九州
■生育環境:渓流、水路など。
■西宮市内での分布:北部の疎水中に見られる。

Fig.3 流水中に生育していたもの。(西宮市・疎水中 2013.1/29)
  灰緑色〜黒緑色。茎は陸生では1〜3cm、水中では5cm以上に伸び、這いまたは斜上する。

Fig.4 分枝した枝。(西宮市・疎水中 2015.2/12)
  葉は重なり、斜めに茎につき、わずかに開出し、卵形、長さ1〜1.4mm、幅1mm前後。

Fig.5 茎の腹面。(西宮市・疎水中 2015.2/12)
  腹葉はない。仮根は無色透明。

Fig.6 葉の拡大。(西宮市・疎水中 2015.2/12)

Fig.7 葉身細胞。(西宮市・疎水中 2015.2/12)
  1目盛は1.6μ。葉身細胞は20〜35μ、膜は一様にわずかに厚く、トリゴンはなく、表面にかすかなベルカがある。
  油体は1細胞に2〜3個、卵形、7〜12μ、内部に多数の微粒を含む。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.8 疎水壁面に生育するヒロハツボミゴケ。(西宮市・疎水中 2015.2/12)
湧水の流入もある疎水壁面の水際付近に沈水〜陸生状態で生育している。
疎水内では他にフジウロコゴケ、ホソバミズゼニゴケ、ナガサキホウオウゴケ、ホソホウオウゴケ、アオハイゴケなどが生育している。

Fig.9 用水路の底面に群生するヒロハツボミゴケ。(西宮市・用水路 2015.2/27)
里山の棚田下部のコンクリート護岸された用水路内の底面に暗緑色のマットを形成していた。
稲作が始まると堰によって水は止められて水深60cm前後の止水域に近くなるが、冬期であるため水深は10cmに満たず、急流となっている。
用水路内にはチゴザサ、ムツオレグサ、スズメノテッポウなどのイネ科草本、水際壁面にはアオギヌゴケ属の蘚類(実同定)が見られる。

他地域での生育環境と生態
Fig.10 小川の水中に生育するヒロハツボミゴケ。(兵庫県小野市・小川 2015.4/12)
溜池直下を流れる湧水の流入のある小川の水中の礫や岩上にホソバミズゼニゴケとともに群生していた。
流れの中にはアオカワモズクも繁茂している。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
岩槻善之助, 1972. ツボミゴケ科. 岩槻善之助・水谷正美『原色日本蘚苔類図鑑』 p.290〜297. PL.39. Fig.152〜154. 保育社

最終更新日:11th.June.2015

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