オギ Miscanthus sacchariflotus  (Maxim.) Benth. イネ科 ススキ属
湿生植物
Fig.1 (西宮市・武庫川河川敷 2008.12/23)

Fig.2 (芦屋市・芦屋川河川敷 2012.10/29)

河川敷、溜池畔などの日当たりのよい湿った場所に群生する大型の多年草。
根茎は太く横走し、節から茎を1本づつまばらに立ち上げ、高さ1.5〜2m、株とはならない。
茎は太く、横断面は円形、堅く平滑で無毛。
葉は線形、長さ40〜80cm、幅1〜3cm、堅く平滑で、縁はざらつく。葉舌は毛状。葉鞘は長く、新鮮なものには毛が密生する。
花序は長さ25〜50cm、先端はやや下垂し、ススキよりやや密に小穂をつけ、中軸はやや短かい。
総は多数で、長さ15〜40cm、中軸は花軸とともに平滑、無毛で、各節から長短不同の小花柄を双生して小穂をつける。
小穂は長さ5〜6mm、披針形、淡黄褐色で、基部は銀白色を帯び、芒はなく、銀白色の基毛を多数つける。基毛は小穂の2倍以上の長さがある。
2個の苞頴は薄膜質で、表面には微白毛がある。

ススキM. sinensis)に似るが、ススキの小穂には長い芒があり、基毛はオギほど長くはなく、小穂と同長〜1.5倍長。
近似種 : ヨシ(アシ)ツルヨシ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国北部および東北部、ウスリー
■生育環境:河川敷、溜池畔、湿地など。
■花期:9〜10月
■西宮市内での分布:市内の河川で見られる。

Fig.3 群生するオギ。(西宮市・武庫川河川敷 2007.11/30)
  太く長い根茎を横走して、節から茎を単生して群生し、ススキのような株はつくらない。

Fig.4 オギの花序。(西宮市・武庫川河川敷 2007.11/30)
  花序にはススキよりも多くの小穂がやや密につき、先はやや下垂する。

Fig.5 花序の総を拡大。(西宮市・武庫川河川敷 2008.12/23)
  総の軸には長い柄をもつ小穂と短い柄の小穂が1組となって、互生してつく。

Fig.6 小穂。(西宮市・武庫川河川敷 2008.12/23)
  小穂は長さ5〜6mmで披針形。基部から長い銀白色の基毛が多数生え、その長さは小穂の2倍よりも長い。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.7 河川敷に群生するオギ。(西宮市・武庫川河川敷 2008.12/23)
オギは河川の中〜下流域の上部に多い。アシよりは高水敷寄りに生育することが多く、抽水状態で見られることは少ない。
画像ではサンカクイやヒメガマが生育する場所よりもやや高みとなった場所に、オギが小群落をつくっている。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982 イネ科ススキ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本T 単子葉類』 p.94〜95. pls.76〜77. 平凡社
北村四郎・村田源・小山鐡夫, 2004 イネ科ススキ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.378〜381. pls.100〜101. 保育社
藤本義昭. 1995. イネ科ススキ属. 『兵庫県イネ科植物誌』 156〜160. 藤本植物研究所
木場英久, 2001. イネ科ススキ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 349〜351. 神奈川県立生命の星・地球博物館
桑原義晴, 2008 ススキ属. 『日本イネ科植物図譜』 p.321〜330. pls.24〜25. 全国農村教育協会
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. オギ. 『六甲山地の植物誌』 233. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. オギ. 『近畿地方植物誌』 179. 大阪自然史センター

最終更新日:8th.Mar.2013

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