ハタケゴケ | Riccia glauca L. | ウキゴケ科 ウキゴケ属 |
湿生植物 |
Fig.1 (西宮市・水田 2008.2/25) 稲刈り後の水田や管理休耕田、湿った庭先の土上で見られる苔類。 葉状体は長さ5〜10mm、幅2〜3mm、規則的に2又分枝して円形のロゼットをつくる。 横断面は両端がとがり、幅は厚さの4〜5倍、上半部にはくしの歯上に細胞がならび、背面には浅い溝がある。腹鱗片は無色で小さい。 葉状体には気室はない。凵i胞子嚢)は葉状体の中に埋没していて、黒褐色。 弾糸はなく、胞子は黄褐色〜褐色、径80μ、表面は網目状。 近似種 : カンハタケゴケ、 コハタケゴケ、 イチョウウキゴケ ■分布:本州、四国、九州 ・ 世界各地 ■生育環境:刈り取り後の水田、管理休耕田、畑地、湿った庭先など。 ■発生期:ほぼ1年中 ■西宮市内での分布:刈り取り後の水田で見られることが最も多く、平野部の水田から北部の棚田まで広く分布する。 |
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↑Fig.2 葉状体は規則的に2叉分枝し、円形のロゼットをつくる。(西宮市・水田 2008.2/25) 時期的には降雪や降霜のある厳冬期だが、稲藁や落ち葉の下には新鮮な個体が発見できる。 画像のものは成熟しきった状態のもので、葉状体基部が破れかけている。破れ目の奥には凵i胞子嚢)がある。 |
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↑Fig.3 葉状体の背面には浅い溝がある。(西宮市・水田 2008.2/25) 腹面からは細い糸状の仮根を出す。 |
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↑Fig.4 葉状体の横断面。(西宮市・水田 2008.2/25) 古い学習用の顕微鏡なので、コケの細部の撮影には無理があるが、とりあえず横断面を撮影してみた。 葉状体の両側先端はカンハタケゴケと比べるとややとがる。 |
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↑Fig.5 葉状体の内部に凾形成した成熟固体。(西宮市・水田 2008.2/25) 葉状体の基部に凾ェ透けて見える。 |
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↑Fig.6 葉状体に埋まった凵i胞子嚢・胞子体)。(西宮市・水田 2008.2/25) 葉状体の基部を切り開くと、凾ェ露出する。 |
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↑Fig.7 凵i上)と胞子(下)。(西宮市・水田 2008.2/25) 凾ヘややいびつな楕円形で、表面には所々に放射状の条線が見える。 胞子は半球形で扁平な4面体、径80μ、褐色。表面には網目模様がある。 |
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↑Fig.8 ウキゴケ属2種の葉状体。(西宮市・休耕田 2008.2/28) 右側の黄緑色でやや大きな葉状体はカンハタケゴケ、左のロゼットを形成しているほうはハタケゴケ。 |
西宮市内での生育環境と生態 |
Fig.9 冬期の水田で見られたハタケゴケ。(西宮市・水田 2008.2/25) 成熟した個体だが、コケ体を覆うものがない裸地で、霜害によって枯れかけている。 葉状体を裂くと、成熟した胞子が現われた。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 水谷正美, 1972. ウキゴケ科ウキゴケ属. 岩槻善之介・水谷正美 『原色日本鮮苔類図鑑』 368〜369. 保育社 最終更新日:3rd.Jan.2011 |