カヤツリグサ Cyperus microiria  Steud. カヤツリグサ科 カヤツリグサ属
湿生植物
Fig.1 (西宮市山口町・休耕田 2007.8/30)

休耕田や畑地、農道、ややしめった路傍などに生える1年草。
茎は高さ20〜50cm、細くて硬く、根生葉は花茎よりも短く、幅2〜4mm。
花序は散形で複生し、花序枝は5〜10個出す。花序の苞葉は4〜6個、うち3〜4個は花序よりも長い。
花穂や小穂の中軸には翼があり、小穂はまばらにつき、黄褐色、3〜4個が掌状に集まって花序をつくる。
小穂は線形、長さ7〜10mm、やや開出し、黄褐色、15〜20個の小花をつける。
鱗片は長さ1.4mm、鋭頭、先端は短い芒となる。痩果は倒卵形、長さ約1.3mm。雌蕊柱頭は3岐する。

同所的に見られるコゴメガヤツリC. iria)のように水田内に生えることは稀で、やや乾いた場所を好む。
コゴメガヤツリに似るが、小穂は花序枝に対してやや開出気味につき、鱗片の先端部分はコゴメガヤツリのように内曲しない点で区別できる。
種間雑種には以下のものがある。
オオチャガヤツリC. ×babae)はチャガヤツリとの雑種で、花序は複生し、小穂の鱗片の先は鋭く、小軸の翼は強調される。
ヒラボガヤツリC. ×mihashii)はコゴメガヤツリとの雑種で、小穂はひも状に長く幅広く、全体に黄色。鱗片の先は円く浅く凹みコゴメガヤツリ様。
近似種 : コゴメガヤツリチャガヤツリ

■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:水田とその周辺の湿地など。
■花期:7〜8月
■西宮市内での分布:全域に分布するが、中・北部に多い。

Fig.2 花序は5〜10本の花序枝をもち、花序の苞葉の3〜4個は花序よりも長い。(西宮市山口町・休耕田 2007.8/30)

Fig.3 花序枝は分枝する。(西宮市山口町・休耕田 2007.8/30)
  よく似たチャガヤツリは、花序枝が分枝しない点で区別できる。

Fig.4 小穂は線形、黄褐色を帯び、15〜20個の花をつける。(西宮市山口町・休耕田 2007.8/30)
  鱗片は鋭頭で、先端は短い凸端となる。チャガヤツリのような芒はない。

Fig.5 痩果。(西宮市・社寺境内 2015.10/23)
  3稜ある倒卵形で、長さ約1.3mm。柱頭は3岐する。

Fig.6 痩果の拡大。(西宮市・社寺境内 2015.10/23)
  表面には低い瘤粒が縦に並ぶ。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.7 棚田の休耕田に生えたカヤツリグサ。(西宮市山口町・休耕田 2007.8/30)
カヤツリグサは農耕地周辺の比較的乾いた裸地や草地に見られることが多いが、ここではヒデリコ、タマガヤツリ、コブナグサなどとともに、
湿田状の休耕田中に生育していた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982. カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 p.180〜184. pls.164〜168. 平凡社
小山鐡夫, 2004 カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.238〜245. pls.60〜61. 保育社
牧野富太郎, 1961 カヤツリグサ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 756. 北隆館
北川淑子・堀内洋. 2001. カヤツリグサ属カヤツリグサ亜属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 400〜408. 神奈川県立生命の星・地球博物館
星野卓二・正木智美, 2003 カヤツリグサ. 星野卓二・正木智美・西本眞理子『岡山県カヤツリグサ科植物図譜(U)』 74〜75. 山陽新聞社
谷城勝弘, 2007 カヤツリグサ属. 『カヤツリグサ科入門図鑑』 174〜197. 全国農村教育協会
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. カヤツリグサ. 『六甲山地の植物誌』 249. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. カヤツリグサ. 『近畿地方植物誌』 162. 大阪自然史センター


最終更新日:9th.Sep.2016

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