コセンダングサ | Bidens pilosa L. | キク科 センダングサ属 |
湿生植物・帰化植物 要注意外来生物 |
Fig.1 (兵庫県加東市・用水路脇 2008.11/2) 溜池畔、水田の畦、休耕田、用水路脇、河川敷などから市街地の溝や道端、荒地などに生える1年草。 熱帯アメリカ原産の帰化植物で、繁殖力が強く要注意外来生物に指定されている。 茎は直立し、横断面は4〜6角形、高さ50〜110cm、細かい毛が多く、よく分枝する。 葉は下方では対生、上部では互生してつき、ふつう3〜5個の小葉に分かれ、長さ12〜19cm、両面に毛を散生する。鋸歯は丸みを帯、先端は突出する。 頭花は黄色、多数の両性の筒状花からなり、舌状花はない。総苞外片はふつう7〜8個(〜11個)つき、へら形で鋭頭。 痩果はやや扁平な4稜形、長さ7〜13mmで2〜4本の刺があり、刺には下向きで鉤状の剛毛が生える。 頭花の外周の数個の筒状花の裂片のいくつかが拡大し白色となるものをアイノコセンダングサ(var. intermedia)(Fig.10,11参照)という。 コセンダングサとコシロノセンダングサ(var. minor)(Fig.14参照)と推定されているもので、ここ最近よく見かけるようになった。 同属のものに似た種が多い。 アメリカセンダングサ(B. frondosa)は全草ほとんど無毛。頭花の最外縁にはごく小さな舌状花がある。痩果は扁平なくさび形で長さ6〜7mm。 要注意外来生物に指定された北アメリカ原産の帰化植物。荒地や野原から水田の畦、用水路脇、休耕田などにふつうに見られる。 センダングサ(B. biternata)は葉に毛が多い。総苞片は8〜10個で長さ3〜6.5mm、線形で鋭頭。結実しない舌状花が0〜5個つく。 関東以西の本州、四国、九州の湿地などに分布。 コバノセンダングサ(B. bipinnata)は前種に似て葉の両面に毛がやや多い。総苞片は5〜7個で長さ2.5mm。舌状花は1〜3個つく。本州の山野に分布。 タウコギ(B. tripartita)は全体無毛で、葉柄はやや翼状に広がる。小葉の鋸歯は低く鈍頭。総苞片はとくに大きく長さ1.5〜4cm。 頭花に舌状花はなく、すべて両性の筒状花からなる。痩果は扁平で長さ7〜11mm。 日本全土の水田や休耕田などに生育するが、近年は減少傾向が著しく、絶滅危惧種に指定する地域も多い。 近似種 : アメリカセンダングサ、 タウコギ、 センダングサ ■分布:帰化植物・熱帯アメリカ原産 ■生育環境:溜池畔、水田の畦、休耕田、用水路脇、河川敷、市街地の溝、道端、荒地など。 ■花期:9〜11月 ■西宮市内での分布:市内全域で見られる。 |
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↑Fig.2 花茎。(西宮市・河川敷 2008.10/24) 分枝した先端に1個の頭花をつける。 |
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↑Fig.3 開花初期の頭花。(西宮市北昭和町・道端 2008.10/26) 頭花は多数の筒状花からなり、舌状花はない。 外縁の筒状花は開花中で、集葯雄蕊の中にある花粉が、雌蕊柱頭に押し上げられて出てきている。 中央部の筒状花はまだつぼみの状態で、つぼみの間からは花床についている苞の先端が出ている。 総苞外片はへら形で鋭頭、軟毛を散生する。総苞外片はふつう7〜8個つくことが多いが、画像のものは10個あった。 |
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↑Fig.4 頭花の縦断面。(西宮市北昭和町・道端 2008.10/26) |
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↑Fig.5 頭花から取り出した筒状花。(西宮市北昭和町・道端 2008.10/26) 子房の上端につく刺は冠毛の変化したもので、刺の表面には下向きの逆刺が見える。 |
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↑Fig.6 訪花したコハナバチの仲間。(兵庫県加東市・用水路脇 2008.11/2) コハナバチ類は長い口器を持ち、筒状花に差し入れて吸蜜する。 |
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↑Fig.7 コセンダングサの葉。(西宮市北昭和町・道端 2008.10/26) ふつう3〜5個の小葉に分かれる。画像のものは栄養状態がよいのか2回3出複葉となっている。 |
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↑Fig.8 小葉の拡大。(西宮市北昭和町・道端 2008.10/26) 鋸歯は丸みを帯びて先端が突出する。葉には毛が生えるが、複葉中軸の毛は特に多く目立つ。 |
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↑Fig.9 果実。(西宮市・武庫川河川敷 2008.12/23) 痩果が熟すと花序は球形となる。痩果の頂部の刺は2〜4個あり、3個あるものが最も多い。 |
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↑Fig.10 痩果。(西宮市・武庫川河川敷 2008.12/23) 痩果は4稜ある線形。頂部の冠毛の変化した刺には下向きの小刺があり、表面には上向きの細かな小刺がまばらにある。 痩果表面には密に腺点があり、このため表面が光って見える。 刺の4個あるものは、明らかに2個の痩果が癒合しており、刺の部分まで合着しているのが判る。 |
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↑Fig.11 アイノコセンダングサとされる個体。(兵庫県加東市・用水路脇 2008.11/2) 頭花の最外縁の数個の筒状花の裂片が拡大、または退化的な舌状花となり白色となるもの。 コセンダングサとコシロノセンダングサの種間雑種と推定されており、最近になってよく見かけるようになった。 |
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↑Fig.12 6月に開花した個体。(兵庫県尼崎市・武庫川河川敷 2008.6/10) 5,6月に開花が見られることもある。 画像のものは頭花最外の筒状花の一部が肥大白化したアイノコセンダングサとされるもの。 |
西宮市内での生育環境と生態 |
Fig.13 河川敷に生育するコセンダングサ。(西宮市・武庫川河川敷 2007.11/30) 武庫川河川敷は数多くの帰化植物が見られるが、コセンダングサの個体数も多い。 コセンダングサは水際近くから高水敷にまで見られる。画像は高水敷に生育しているもの。 周辺にはオオニシキソウ、オオフタバムグラ、ヨモギ、セイタカアワダチソウ、コマツヨイグサ、セイバンモロコシなどが生育する。 |
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Fig.14 河川中流域の河川敷に生育するコセンダングサ。(西宮市・河川敷 2008.10/24) 河川敷のかなり湿った場所でツルヨシ、キシュウスズメノヒエ、アキメヒシバ、ハッカ、アメリカセンダングサ、ミゾソバとともに生育。 |
参考画像----------コシロノセンダングサ---------- |
Fig.15 コシロノセンダングサ (シロバナセンダングサ、シロノセンダングサ) Bindens pilosa L. var. minor Sherff (兵庫県加東市・道端 2008.11/2) 本州中部以西の都市やその近郊の荒地に見られる。暖帯〜熱帯に見られる1年草で江戸時代末期に渡来。 頭花には4〜7個の雄蕊が退化した不稔の舌状花があり、痩果には2〜4本の刺がある。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 北村四郎, 1981. キク科センダングサ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編) 『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.175〜177. pls.147〜148. 平凡社 北村四郎・村田源・堀勝, 2004 センダングサ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花類』 p.64〜66. pls.21. 保育社 大場達之. 2001. センダングサ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1410〜1413. 神奈川県立生命の星・地球博物館 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七. 2001. センダングサ属. 『日本帰化植物写真図鑑』 326〜332. 全国農村教育協会 小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. コセンダングサ. 『六甲山地の植物誌』 202. (財)神戸市公園緑化協会 村田源. 2004. コセンダングサ. 『近畿地方植物誌』 19. 大阪自然史センター 最終更新日:20th.Nov.2009 |