マスクサ Carex gibba  Wahlenb. カヤツリグサ科 スゲ属 マスクサ節
湿生植物
Fig.1 (西宮市・農道の溝 2007.6/5)

Fig.2 (兵庫県篠山市・農道脇 2011.5/16)

やや湿った道端、水田の畦、旧畑地、草地、林縁などに生育する多年草。
根茎は短く叢生する。葉は幅2〜5mm。
花茎は高さ30〜60cmで、鈍稜があって、表面は平滑。
花序は5〜8個の無柄の小穂を互いに離れてつけ、苞は葉状で、下方のものは花序よりも著しく長い。
小穂は雌雄性。多数の雌花と、基部に少数の雄花をつけ、緑色、長さ5〜10mm、幅約4mm。
雌鱗片は果胞よりも短く、白味を帯び、中肋は緑色で先端は短芒となる。
果胞は広卵形で扁平、長さ3〜3.5mm、両側に広い翼があり、上半部の縁は著しくざらつき、上部で急に狭まって短い嘴となる。
痩果は広楕円形〜円形で、柱基はやや盤状となり、長さ2mm前後。柱頭は3岐する。

ヤブスゲ節(柱頭は2岐)の数種がマスクサ(柱頭は3岐)によく似る。
タカネマスクサC. planat)は湿った林内や湿地に生え、葉幅1.5〜2.5mm、小穂は3〜4個、果胞は広卵形で縁に広い翼があり、長さ3.5〜4.5mm。
ヤブスゲC. rocheburunii)は低山の林内や草地に生え、葉幅2〜4mm、小穂は8〜10個、果胞は披針形で翼は狭く縁はざらつき、長さ4〜4.5mm。

■分布:本州、四国、九州、対馬、トカラ列島、伊豆諸島 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:やや湿った道端、水田の畦、旧畑地、林縁など。
■果実期:5〜7月
■西宮市内での分布:中・北部の丘陵〜低山域の農耕地周辺や林縁などに見られる。

Fig.3 花序。(西宮市・湿った農道 2007.5/17)
  花序には小穂が互いに離れてつく。花序の下方の苞葉は花序よりも著しく長い。

Fig.4 小穂。小穂には柄がない。(西宮市・湿った農道 2007.5/17)
  小穂は雌雄性で、上部に多数の雌花が集まり、基部に少数の雄花をつける。雄花は鱗片も小さく、葯がのぞいている。

Fig.5 果胞(左)と痩果(右)。(西宮市・溜池の土堤 2007.6/5)
  果胞は広円形で扁平。中部の少し上にはくびれがあって、そこから上はやや外曲する。
  果胞の縁には広い翼があり、上半部の縁は著しくざらつく。先端部で急に狭まり、短い嘴を持つ。
  痩果は広楕円形〜円形で、柱基はやや盤状となり、長さ2mm前後。雌蕊柱頭は3岐する。

Fig.6 ヒゲナガカメムシ(ナガカメムシ科)の食害を受ける草体。(兵庫県三田市・休耕田の畦 2008.6/17)
  ヒゲナガカメムシはスゲ類やイネ科の花序によく見られるカメムシで、太い前脚が特徴的ですぐに判る。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.7 農道の脇にある溝で生育するマスクサ。(西宮市・農道の溝 2007.6/5)
溝といっても、降雨がある時のみに流水があるような、やや湿った状態の枯れ溝である。
日当たりは比較的よく、いずれも良く繁茂したツボスミレ、オヘビイチゴなどとともに生育していた。
他に、ヌカボ、アキノキリンソウなども混生していた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982. マスクサ. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 p.167. pl.148. 平凡社
小山鐡夫, 2004 マスクサスゲ. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.260. pl.65. 保育社
勝山輝男. 2001. スゲ属マスクサ節. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 450,452. 神奈川県立生命の星・地球博物館
勝山輝男, 2005. マスクサ節,ヤブスゲ節. 『日本のスゲ』 63〜67. 文一総合出版
谷城勝弘, 2007. マスクサ. 『カヤツリグサ科入門図鑑』 36. 全国農村教育協会
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. マスクサ. 『六甲山地の植物誌』 244. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. マスクサズスゲ. 『近畿地方植物誌』 156. 大阪自然史センター


最終更新日:5th.Oct.2014

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