ホスゲ | Carex deweyana Schwein. subsp. senanensis (Ohwi) T.Koyama |
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山地・草地・林縁の植物 兵庫県RDB Aランク種 | カヤツリグサ科 スゲ属 ヤブスゲ節 |
Fig.1 (兵庫県但馬地方・登山道脇 2017.6/23) 亜高山帯のやや湿った草地や林縁に生育する多年草。 根茎は短く密に叢生する。基部の鞘は淡褐色〜褐色。葉は有花茎とほぼ同長で、幅2.5〜4.5mm。 有花茎は高さ25〜70cm、上部はざらつく。花序は4〜8個の無柄の小穂を散生し、長さ5〜8cm。 小穂は雌雄性、円柱形、長さ5〜13mm。雌花は3〜5列、下方の小穂は離れてつきやすい。 雄鱗片は緑白色、鋭頭〜短芒。雌鱗片は緑白色〜黄褐色、鋭頭〜短芒。 果胞は雌鱗片よりも長く、長卵形、長さ4〜4.5mm、稜間に少数の脈があり、無毛、翼はごく狭く、鋸歯縁、長い嘴があり、口部は2歯。 痩果はやや密に果胞に包まれ、卵状楕円形、長さ1.5〜1.7mm。柱頭は2岐する。 近縁種 : タカネマスクサ、 ホザキマスクサ、 ヤブスゲ、 マスクサ メモ:兵庫県にはわずか6個体が生育するのみで、まさに絶滅寸前のスゲである。 ■分布:本州(鳥取・兵庫県以北の日本海側) ■生育環境:亜高山帯のやや湿った草地、林縁など。 ■果実期:6〜8月 |
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↑Fig.2 基部の鞘は淡褐色〜褐色。(兵庫県但馬地方・登山道脇 2017.6/23) |
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↑Fig.3 葉。(兵庫県但馬地方・登山道脇 2017.6/23) 葉は鮮緑色、花茎とほぼ同長、幅2.5〜4.5mm、葉縁は少しざらつき、横断面はV字形。 |
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↑Fig.4 有花茎。(兵庫県但馬地方・登山道脇 2017.6/23) 有花茎は鋭3稜形で、上部はざらつく。 |
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↑Fig.5 花序。(兵庫県但馬地方・登山道脇 2017.6/23) 花序は4〜8個の雌雄性の無柄の小穂を散生し、長さ5〜8cm、下方の小穂ほど離れてつきやすい。最下の苞葉は花序と同長か長い。 |
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↑Fig.6 小穂。(兵庫県但馬地方・登山道脇 2017.6/23) 小穂は雌雄性、円柱形、長さ5〜13mm。雌花は3〜5列、雄花は少数。 雄鱗片は緑白色、鋭頭〜短芒。雌鱗片は緑白色〜黄褐色、鋭頭〜短芒。柱頭は2岐する。 |
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↑Fig.7 果胞。1目盛=0.1mm。(兵庫県但馬地方・登山道脇 2017.6/23) 果胞は雌鱗片よりも長く、長卵形、長さ4〜4.5mm、稜間に少数の脈があり、無毛、翼はごく狭く、鋸歯縁、長い嘴があり、口部は2歯。 |
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↑Fig.8 痩果。(兵庫県但馬地方・登山道脇 2017.6/23) 痩果はやや密に果胞に包まれ、卵状楕円形、長さ1.5〜1.7mm。 |
生育環境と生態 |
Fig.9 登山道脇に生育するホスゲ(手前の2株)。(兵庫県但馬地方・登山道脇 2017.6/23) 兵庫県では鳥取県と接する氷ノ山山域に生育するが、兵庫県側では6個体が生育するのみだった。 自生地周辺は大部分でチシマザサが群生し、登山道として切り開かれた場所のうち、踏み付けの頻度が少ない箇所に生育している。 踏み付けの多い場所ではメアオスゲ、ヤマヌカボが生育し、ホスゲはコハリスゲ、イグサ、ヤマヌカボと混生している。 シカの食害は見られないので、踏み付けを防止する簡単な柵で囲むだけでも保全の効果があると考えられる。 |