ミゾコウジュ Salvia plebeia  R. Br. シソ科 アキギリ属
湿生植物  環境省準絶滅危惧種・兵庫県RDB Cランク種

Fig.1 (兵庫県朝来市・溜池畔 2011.6/19)

Fig.2 (大阪府高槻市・河川敷 2013.5/15)

湿った草地、溜池畔、畦、河川敷などの日当たりのよい湿った場所に生育する越年草。
1年目は長楕円形で長い柄のあるロゼット葉をつけるが、開花時には枯れる。
茎は高さ30〜70cm、4角形で直立し、まばらに分枝して、下向きの細毛がある。
茎葉は短い柄があり、長さ3〜6cm、幅1〜2cm、縁は鈍い鋸歯があり、脈は凹んで葉面は細かいしわがあり、細毛が生える。
花穂ははじめ短いが、のちに長く伸びて8〜10cmとなる。苞は披針形で葉が差2〜7mm。
萼は長さ2.5〜3mm、唇形で、花が終わると左右に口を閉じるが、果時には長さ約4mmとなって再び開く。
花冠は淡紫色で長さ4〜5mm、下唇は大きく、紫色の斑点がある。雄蕊4個のうち下側の葯は不稔である。分果は広楕円形で長さ約0.8mm。
近似種 : ヒメジソイヌコウジュ

■分布:本州(茨城県以西)、四国、九州、沖縄 ・ 東アジア、マレーシア、インド、オーストラリア
■生育環境:湿った草地、溜池畔、畦、河川敷など。
■果実期:5〜6月
■西宮市内での分布:市内では生育を確認していない。

Fig.3 茎と葉。(兵庫県朝来市・溜池畔 2011.6/19)
  茎は4角形で、下向きの細毛がある。
  茎葉は短い柄があり、縁は鈍い鋸歯があり、脈は凹んで葉面は細かいしわがあり、細毛が生える。

Fig.4 葉腋からまばらに分枝し、枝先に花穂をつける。(兵庫県朝来市・溜池畔 2011.6/19)

Fig.5 花穂の拡大。(兵庫県朝来市・溜池畔 2011.6/19)
  花穂は各節につく輪散花序からなる。輪散花序は2個の集散花序が対生して、花が輪生して見えるもの。
  対生する集散花序の基部には披針形の苞があり、ふつうそれぞれ3個の花をつける。
  萼は唇形で、細毛と腺点がある。画像の花後の2個の萼は左右から閉じている。

Fig.6 花冠。(大阪府高槻市・河川敷 2013.5/15)
  花冠は淡紫色で長さ4〜5mm、外面には細毛があり、下唇は大きく、紫色の斑点がある。

Fig.7 成長期の草体。(大阪府高槻市・河川敷 2013.5/19)

生育環境と生態
Fig.8 溜池畔に生育するミゾコウジュ。(兵庫県朝来市・溜池畔 2011.6/19)
山間の溜池畔の湿った草地や護岸の隙間にミゾコウジュが生育していた。
溜池は山間部にあるが、溜池上部には休耕田が広がり、一部は果樹園に転用されている。
溜池内にはイトモが生育し、溜池畔は大部分がブロック護岸となっているが、古い部分の護岸の隙間やわずかな草地に100個体前後が生育していた。
同所的にコナスビ、コモチマンネングサ、チドメグサ、トウバナ、シロツメクサ、ニガナ、コメヒシバ、メアオスゲ、ススキなどが見られた。

Fig.9 河川敷の掘削地に生育するミゾコウジュ。(大阪府高槻市・河川敷 2013.5/15)
河川敷の掘削地に埋土種子から生育したと見られる個体が点在していた。
周辺にはヒナキキョウソウ、メマツヨイグサ、ヒメジョオン、セイタカアワダチソウ、ヒメムカシヨモギ、ヒロハホウキギク、ノボロギク、
オオオナモミといった外来種も多いが、ヨシやススキに混じってミコシガヤ、ヤガミスゲといった稀少なスゲ類も見られた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
村田源, 1981. シソ科アキギリ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.80〜81. pl.65. 平凡社
北村四郎・村田源, 2004 シソ科アキギリ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(T) 合弁花類』 p.166〜169. pl.51. 保育社
牧野富太郎, 1961 ミゾコウジュ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 531. 北隆館
関口克己. 2001. シソ科アキギリ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1203〜1206. 神奈川県立生命の星・地球博物館
村田源. 2004. ミゾコウジュ. 『近畿地方植物誌』 45. 大阪自然史センター
黒崎史平 2004. ミゾコウジュ. 兵庫県産維管束植物6 シソ科. 人と自然15:143. 兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:9th.Mar.2014

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