サワオグルマ | Senecio pierotii Miq. | キク科 キオン属 |
湿生植物 |
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Fig.1 (兵庫県丹波市・休耕田 2009.4/25) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・休耕田 2014.5/7) 日当たりの良い山間の湿地、休耕田、用水路脇などに生育する多年草。 根茎を横走させ群生する。茎は太くて軟らかく、中空、直立し、高さ50〜80cm、葉とともに白いくも毛が生える。 葉はやや厚味があり、根生葉や下部の葉には柄があり、長さ12〜25cm、上部につく葉は無柄で茎を抱く。 頭花は仮散房状につき径3.5〜5cm。総苞は洋杯形で長さ7〜8mm、幅1.5〜2cm、片は広披針形で先はとがる。 舌状花は長さ11〜16mm、幅2mm前後。痩果は無毛で長さ約4mm、冠毛は雪白色。 似たものにオカオグルマ(S. integrifolius subsp. fauriei)があり、サワオグルマより乾いた場所に生え、くも毛の量が多くて目立ち、 痩果には毛が生える。 また、山間の湿地などに生育するオグルマ属ものにオグルマ(Inula britannica subsp. japonica)、 ホソバオグルマ(I. britannica subsp. linariaefolia)、 カセンソウ(I. salicina var. asiatica)、ミズギク(I. ciliaris)があるが、いずれも開花期は夏から秋である。 近似種 : オカオグルマ、 オグルマ、 ホソバオグルマ、 カセンソウ、 ミズギク ■分布:本州、四国、九州、沖縄 ・ 亜熱帯〜温帯 ■生育環境:日当たりのよい山間の湿地、休耕田、水田の畦、用水路脇など。 ■果実期:4〜6月 ■西宮市内での分布:分布しない。県内でも南部には稀で、中部から北部の山間の休耕田で群生しているのをよく見かける。 |
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↑Fig.3 開花しはじめたサワオグルマ。(兵庫県篠山市・用水路脇 2008.4/27) |
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↑Fig.4 満開のサワオグルマ。(兵庫県丹波市・休耕田 2009.4/25) 花径3.5〜5cmと、黄色い大きな花を仮散房状に多数つけた姿は遠くからでもよく目立つ。 |
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↑Fig.5 頭花の拡大。(兵庫県丹波市・休耕田 2009.4/25) 中心に筒状花を密集してつけ、最外列に舌状花が並ぶ。 |
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↑Fig.6 訪花したモモブトカミキリモドキ。(兵庫県丹波市・休耕田 2009.4/25) 沢山のモモブトカミキリモドキが訪花し、花粉を摂食中だった。 他にルリマルノミハムシ、モンキチョウ、モンシロチョウ、キアゲハ、アゲハチョウ、ベニシジミなど様々な昆虫類が訪花していた。 |
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↑Fig.7 冠毛をつけた痩果。(兵庫県篠山市・休耕田 2010.5/29) 痩果には2〜3倍長の冠毛がつく。冠毛は羽毛状に広がらず、顕微鏡下で上向きの小刺がまばらに生えているのが確認できる。 |
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↑Fig.8 冠毛を取り除いた痩果。(兵庫県篠山市・休耕田 2010.5/29) 痩果は淡褐色〜褐色、明瞭な脈があり、表面は無毛。 |
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↑Fig.9 茎。(兵庫県篠山市・休耕田 2008.4/27) 茎は太くで軟らかく、中空、下部は赤紫色を帯びることが多く、くも毛が生える。 |
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↑Fig.10 茎の下部についた葉。(兵庫県丹波市・休耕田 2009.4/25) 葉は厚味があって、くも毛が著しい。葉縁にはやや不揃いな三角状の鋸歯が並ぶ。 |
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↑Fig.11 茎上部の葉。(兵庫県丹波市・休耕田 2009.4/25) 茎の上部につく葉では基部が茎を抱く。 |
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↑Fig.12 根生葉。(兵庫県篠山市・休耕田 2008.4/27) 根生葉はへら形で柄があり、中央脈が赤紫色を帯び、葉面にはくも毛が生える。 |
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↑Fig.13 根茎から出芽しはじめた根生葉。(兵庫県福崎町・溜池畔の湿地 2009.2/1) 兵庫県中〜南部では、まだ寒い1月下旬頃から出芽が始まる。新芽は柔らかい。 |
生育環境と生態 |
Fig.14 休耕田に生育するサワオグルマ。(兵庫県篠山市・休耕田 2008.4/27) 山間部の棚田奥の休耕田で群生が見られた。 同所的にサトメシダ、ゼンマイ、アゼスゲ、コジュズスゲ、ミヤマシラスゲ、タチスゲ、ギシギシ、ミゾソバ、セリ、ニョイスミレ、 ヌマトラノオ、タムラソウ、ムラサキサギゴケなどが生育している。 |
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Fig.15 用水路脇で見られたサワオグルマ。(兵庫県篠山市・用水路脇 2008.4/27) 山間から流れ込む細流を用水とするような用水路の脇。 ここでもタムラソウが混生し、サワギク、ショウジョウバカマなどが見られる。 |
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Fig.16 細流脇で見られたサワオグルマ。(兵庫県丹波市・細流脇 2009.5/3) 雑木林と棚田の間を流れる細流脇が湿地状となり、そこに生育している。 ここではセリ、オオバタネツケバナ、ショウブ、キツネノボタンとともに見られた。 |
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Fig.17 溜池畔に生育するサワオグルマ。(兵庫県丹波市・溜池畔 2013.4/23) サワオグルマはシカの忌避植物であり、他の草本が食い尽くされてもクリンソウと同様に生き残って群生地をつくる。 この地域もシカによる食害は甚大であり、ミズゴケ湿地内で見られるのはサワオグルマ、コバノイシカグマ、ナンテン程度である。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 山崎敬, 1981. キク科キオン属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編) 『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.181〜183. pls.153〜155. 平凡社 北村四郎・村田源・堀勝, 2004 キク科キオン属. 『原色日本植物図鑑 草本編(T) 合弁花編』 p.43〜46. pl.14. 牧野富太郎, 1961 サワオグルマ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 663. 北隆館 長田武正・長田喜美子, 1984 サワオグルマ、オカオグルマ. 『野草図鑑 4 たんぽぽの巻』 p.79〜81. 保育社 大場達之. 2001. キク科キオン属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1372〜1377. 神奈川県立生命の星・地球博物館 小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. サワオグルマ. 『六甲山地の植物誌』 210. (財)神戸市公園緑化協会 村田源. 2004. サワオグルマ. 『近畿地方植物誌』 27. 大阪自然史センター 小山博滋・黒崎史平・高野温子 2007. キク科キオン属. 兵庫県産維管束植物8. 人と自然17:179〜181. 兵庫県立・人と自然の博物館 最終更新日:26th.Aug. 2014 |