タマガヤツリ Cyperus difformis  L. カヤツリグサ科 カヤツリグサ属
湿生植物
Fig.1 (西宮市山口町・水田 2008.10/24)

水田,休耕田,中栄養な溜池畔や湿地,用水路,河川敷などに普通な1年草。
茎は叢生し、柔らかく、高さ20〜50cm。少数の葉があり、茎よりも低く、葉幅2〜4mm。
苞葉は2〜3個、花序よりも長い。基部の鞘は赤褐色を帯びる。
花序は単一、または複生し、ふつう長さの異なる数本の花序枝の先に頭状の分花序をつける。
小穂は線形、長さ3〜8mm、10〜20個の花をつけ、暗褐色を帯びた球状の花穂をつくる。
鱗片は広倒卵形、長さ約0.7mm、中肋は緑色でわずかにとがり、上端は少し凹む。
痩果は倒卵形、長さ約0.6mm。花柱は短い。雌蕊柱頭は3岐する。
近似種 : アオガヤツリシロガヤツリ

■分布:北海道、本州、四国、九州、沖縄 ・ ほとんど全世界の暖帯
■生育環境:水田,休耕田,中栄養な溜池畔や湿地,用水路,河川敷など。
■果実期:8〜10月
■西宮市内での分布:市内全域に普通に見られる。

Fig.2 タマガヤツリの花序。(西宮市・武庫川河川敷 2007.8/9)
  花序枝を数本出して、小穂が頭状に集まった分花序をつける。

Fig.3 紫褐色を帯びた小穂をもつもの。(岡山県真庭市・水田 2006.9/27)

西宮市内での生育環境と生態
Fig.4 休耕田に生育するタマガヤツリ。(西宮市・休耕田 2007.8/19)
コナギ、イボクサ、キカシグサの群落中に、イヌホタルイ、ヒデリコ、ハリイ、コウガイゼキショウ、ハナビゼキショウなどとともに見られた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982. カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 pp.180〜184. pls.164〜168. 平凡社
小山鐡夫, 2004 カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 pp.238〜245. pls.60〜61. 保育社
牧野富太郎, 1961 タマガヤツリ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 758. 北隆館
北川淑子・堀内洋. 2001. カヤツリグサ属カヤツリグサ亜属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 400〜408. 神奈川県立生命の星・地球博物館
星野卓二・正木智美, 2003. タマガヤツリ. 星野卓二・正木智美・西本眞理子『岡山県カヤツリグサ科植物図譜(U)』 80〜81. 山陽新聞社
谷城勝弘, 2007. カヤツリグサ属. 『カヤツリグサ科入門図鑑』 174〜197(186). 全国農村教育協会
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. タマガヤツリ. 『六甲山地の植物誌』 249. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. タマガヤツリ. 『近畿地方植物誌』 161. 大阪自然史センター

<<<戻る TOPページ