アオガヤツリ Cyperus nipponicus  Franch. et Sav. カヤツリグサ科 カヤツリグサ属
湿生植物
Fig.1 (滋賀県・小河川 2008.9/8)

Fig.1 (西宮市・河川敷 2015.10/7)

溜池畔、河畔などに生える小型の1年草。
叢生して株となり、茎は高さ10〜30cm、細く、基部に少数の葉がある。株は大きく叢生すると四方に放射状に広がる。
葉は茎より短いか少し長く、幅1〜2mm、淡緑色でやわらかい。
基部の鞘は白味を帯びた赤褐色。苞葉は3〜4枚で葉状、花序より著しく長い。
花序は白緑色で頭状、ふつう1〜5本の花序枝をもち、花序枝の先についた頭状花序の基部にも苞葉がつくことが多い。
小穂は披針形、長さ3〜7mm、幅1.5〜2mm、扁平、10〜30個の花を2列につける。
鱗片は卵形、長さ約1.7mm、薄膜質、鋭頭で、中肋は芒状に少し出る。痩果は倒卵形、長さ約0.8〜1mm。花柱は痩果とほぼ同長。
柱頭はふつう2個だが、短い柱頭がのびて3個となることがある。

シロガヤツリC. pacificus)に似るが、シロガヤツリの痩果は長楕円形で、稜上は狭い翼状となるので区別できる。
また、シロガヤツリはほとんど花序枝を出さない。
オオシロガヤツリC. nipponicus var.spiralis )は花茎が細く、小穂は扁平にならず密生。痩果は倒卵形で長さ約0.8mm。柱頭は3岐。
ニイガタガヤツリ(?)C. niigataensis)は鱗片が鈍頭で、中肋は突出しない。痩果は楕円形で長さ約0.8mm、稜はふくれた翼状となる。
近似種 : ヒメアオガヤツリシロガヤツリオオシロガヤツリニイガタガヤツリ(?)または未記載種タマガヤツリヒメクグアイダクグ

■分布:本州、四国、九州 ・ 中国、朝鮮半島
■生育環境:河畔、溜池畔。
■花期:7〜10月
■西宮市内での分布:市内では市街地にある水田の1ヶ所で確認できた。

Fig.3 花序。(滋賀県・小河川 2008.9/8)
  扁平な小穂が頭状に密集する。花序枝を数本出してその先に数個の苞葉をつけて分花序をつけることが多い。

Fig.4 小穂。(滋賀県・小河川 2008.9/8)
  小穂は扁平で披針形。10〜20個の鱗片が2列に並ぶ。

Fig.5 小穂の拡大。(兵庫県淡路市・干上がった溜池畔 2009.11/7)
  この小穂は干上がった溜池に生えた小型個体のものであるため、小穂は小さい。
  鱗片は薄膜質、中肋は緑色で先が少し芒状に凸出し、縁は淡色。

Fig.6 痩果。(兵庫県淡路市・干上がった溜池畔 2009.11/7)
  痩果は倒卵形で、長さ0.8〜1mm、熟すと茶褐色になる。

Fig.7 痩果拡大。(西宮市・刈り取り後の水田 2014.10/22)
  表面にはごく微小な瘤粒が縦に並んでいる。柱頭はふつう2岐する。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.8 刈り取り後の水田で生育するアオガヤツリ。(西宮市・水田 2014.10/22)
例年であればオオシロガヤツリが見られる住宅街の水田の隣の田で、アオガヤツリが数個体見られた。
オオシロガヤツリが生育していた水田は今年はサツマイモが作られており、オオシロガヤツリは見られない。
アオガヤツリは刈り取り後に発芽生長したようで、径4cm以下の小さな個体ばかりであった。
水田にはイヌホタルイ、コゴメガヤツリ、タマガヤツリ、ヒデリコ、ヒメクグ、ヌカキビ、タネツケバナ、スカシタゴボウ、トキワハゼ、
トキンソウなどが生育している。

他地域での生育環境と生態
Fig.9 小河川の砂泥地で生育するアオガヤツリ。(滋賀県・小河川 2008.9/8)
周辺にはシロガヤツリ、チョウジタデ、ツルヨシなどが生育していた。

Fig.10 干上がった溜池畔で生育するアオガヤツリ。(兵庫県淡路市・干上がった溜池畔 2009.11/7)
高さ3cm程度の小さな個体があちこちに生育していた。秋に減水して急いで発芽、結実したもの。
外来種のオオオナモミがはびこる中、メアゼテンツキ、トキンソウ、コゴメガヤツリなどとともに多数生育していた。

Fig.11 減水した溜池畔で生育するアオガヤツリ。(兵庫県加西市・溜池畔 2010.9/28)
2010年度は夏場に晴天が続いたため、早くから水際付近は底が露出して、比較的状態よく生育した個体が目立った。
画像下のテンツキ属はメアゼテンツキである。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982. カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 p.180〜184. pls.164〜168. 平凡社
小山鐡夫, 2004 カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.238〜245. pls.60〜61. 保育社
牧野富太郎, 1961 アオガヤツリ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 759. 北隆館
北川淑子・堀内洋. 2001. シロガヤツリ亜属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 412〜413. 神奈川県立生命の星・地球博物館
星野卓二・正木智美, 2003. アオガヤツリ. 星野卓二・正木智美・西本眞理子『岡山県カヤツリグサ科植物図譜(U)』 88,89. 山陽新聞社
谷城勝弘, 2007. アオガヤツリ. 『カヤツリグサ科入門図鑑』 181. 全国農村教育協会
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. アオガヤツリ. 『六甲山地の植物誌』 249. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. アオガヤツリ. 『近畿地方植物誌』 162. 大阪自然史センター
黒崎史平・松岡成久・高橋晃・高野温子・山本伸子・芳澤俊之 2009. アオガヤツリ. 兵庫県産維管束植物11 カヤツリグサ科. 人と自然20:166.
       兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:12th.Aug.2016

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