アカネスミレ （オカスミレ含む） Viola phalacrocarpa 　Maxim.
　 山地・里山・草地の植物 スミレ科 スミレ属
Fig.1　（神戸市・棚田の土手　2017.4/29）
Fig.2　オカスミレ（f. glaberrima）（兵庫県養父市・林縁　2017.4/14）

山地～丘陵の草地、林縁などに生育する多年草。
全体に多毛で、葉、花柄、萼片、蒴果は短毛に覆われる。
葉は卵形または狭卵形、鋭頭または鈍頭、長さ1～5cm、基部は浅い心形、葉柄は長さ3～10cm。
花柄は長さ5～10cm。花は濃紅紫色、径約15mm。花弁の基部が閉じ気味に咲き、花の内部はほとんど見えない。
萼片は広披針形、耳には2～3個の鋸歯がある。
花弁は長さ10～13mm、側弁に毛があり、距は細長く長さ6～8mm、有毛。

オカスミレ（f. glaberrima）は側弁基部を除いて無毛の品種。場所によってはアカネスミレよりも多い。Fig.10以降を参照。
コスミレ（V. japonica）は花が側弁基部からしっかり開いて花柱先端がよく見え、距はアカネスミレよりも短くぼってりとしている。
近縁種　：　コスミレ、 ノジスミレ

■分布：本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部
■生育環境：山地～丘陵の草地、林縁など。西日本では山地に分布する傾向が強い。
■花期：4～5月
↑Fig.3　開花期の葉。（神戸市・林床　2015.4/26）
　 葉は卵形または狭卵形、鋭頭または鈍頭、明るい緑色、長さ1～5cm、基部は浅い心形、有毛。
↑Fig.4　葉柄。（神戸市・棚田の土手　2017.4/29）
　 葉柄は長さ3～10cm、翌はごく狭く、微毛が生える。
↑Fig.5　花。（神戸市・棚田の土手　2017.4/29）
　 花は濃紅紫色、径約15mm。花弁の基部が閉じ気味に咲き、花の内部はほとんど見えない。
　 花弁は長さ10～13mm、側弁の基部に毛がある。
↑Fig.6　横から見た花。（神戸市・棚田の土手　2017.4/29）
　 花柄は長さ5～10cm。萼片は広披針形、耳には2～3個の鋸歯がある。花柄、萼ともに微毛が生える。
　 距は細長く長さ6～8mm、微毛が生える。
↑Fig.7　蒴果。（神戸市・林床　2015.4/26）
　 蒴果は長さ6～8mm、長楕円形、紫斑があり、微毛が生える。
↑Fig.8　花後、葉は大きくなる。（神戸市・林床　2015.4/26）
↑Fig.9　アカネスミレは全体に微毛が多い。（神戸市・棚田の土手　2017.4/29）
　 葉、葉柄、花柄、萼、距、子房に微毛が生えている。
↑Fig.10　オカスミレ (f. glaberrima)（兵庫県養父市・ススキ草原　2016.5/12）
　 アカネスミレの側弁基部以外は無毛の品種。兵庫県北部にはこのタイプが多く見られる。
↑Fig.11　オカスミレの花。（兵庫県養父市・ススキ草原　2016.5/12）
　 花の側弁基部には毛があるが、花柄や萼、距は無毛。
　 コスミレとは花の開き方や距の形状で区別できるが、オカスミレとコスミレの種間雑種となると区別が困難となる。
↑Fig.12　オカスミレの葉、葉柄はともに無毛。（兵庫県養父市・ススキ草原　2016.5/12）
↑Fig.13　オカスミレの未熟な蒴果。（兵庫県養父市・ススキ草原　2016.5/12）
　 蒴果や子房は無毛。
↑Fig.14　ウスアカネスミレと通称される花色の薄いタイプ。（神戸市・林床　2015.4/26）
　 アカネスミレはもともと花の色に変異幅があり、花色以外はアカネスミレと変わらない。
生育環境と生態
Fig.15　ススキ草原に生育するオカスミレ。（兵庫県養父市・ススキ草原　2016.5/12）
アカネスミレやオカスミレは草刈りが行われる場所や、林縁にある崩壊気味の半裸地の斜面に見かけることが多い。
ここでは草刈りされるススキ草原でホコバスミレ、ナガバノタチツボスミレ、オオタチツボスミレ、ミツバツチグリ、オトギリソウ、イタドリ、オトコエシ、
アキカラマツ、ヨモギ、オハラメアザミなどとともに生育している。
Fig.16　高原の草原でアケボノスミレ（左上）とともに開花したオカスミレ。（兵庫県養父市・ススキ草原　2017.5/7）
ここではアケボノスミレ、アカネスミレのほか、サクラスミレ、ホコバスミレ、ホソバキリガミネスミレ、フモトスミレ、ヒゴスミレ、タチツボスミレ、
ナガバノタチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、オオタチツボスミレなど多くのスミレ類が見られ、オカオグルマ、クシバタンポポなどの開花も見られた。
Fig.17　野焼き後のススキ草原で萌芽・開花したオカスミレ。（兵庫県養父市・ススキ草原　2016.5/19）
野焼き後間もなく草本類の萌芽が始まる頃、サクラスミレ、ホコバスミレ、チゴユリ、ミツバツチグリなどとともに開花しているものが見られた。
この場所に生育しているアケボノスミレは開花期が野焼き期間と一致するため、開花個体は見られない。
このオカスミレは花色が薄く、これが野焼きの影響によるものかは不明である。

最終更新日：18th.Mar.2018

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