アリアケスミレ Viola betonicifolia  Smith
  var. albescens  (Nakai) F.Maek. et Hashimoto
  里山・畦・畑地の植物 スミレ科 スミレ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・水田の畦 2009.4/17)

Fig.2 (西宮市・梅林 2011.4/18)

低地〜丘陵の休耕田、水田の畦、湿った畑地、河畔などに生育する多年草。
ふつう無毛。根茎は短く、少数の太く長い白色を帯びた根をおろす。
葉は数個群がり立ち、水平に開くことが多い。
葉身は線状披針形、長さ5.5〜8cm、幅約2cm、鈍頭、基部は切形またはわずかに心形、縁には下方に鈍鋸歯があり、上方は間遠な低い鋸歯となる。
葉柄は葉身よりも短いものが多く、上部に短い翼がある。果実期の葉は耳の出た長3角形で、その両縁はやや凹曲線を描く。
托葉は披針形、下半は葉柄に合着する。
花柄は長さ9〜12cmで、葉よりも著しく高くなることはない。花は大型の白色で、長さ2.5cm。
萼片は披針形。花弁は倒卵形で先は円く、側弁と上弁に毛があり、唇弁と側弁に紫条が入る。
距は長さ約4mmで、太く短い。
近縁種 : シロスミレ、 ホソバシロスミレ、 シロガネスミレ、 スミレハリマスミレ(雑種)

■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国東北部
■生育環境:低地〜丘陵の休耕田、水田の畦、湿った畑地、河畔など。里山に多い。
■花期:4〜5月

Fig.3 花冠。(兵庫県篠山市・農道脇 2013.4/9)
  花は大型で白色、唇弁と側弁にはふつう紫条が入る。側弁および上弁は有毛。

Fig.4 距と萼片。(西宮市・梅林 2011.4/18)
  距は太く短い。萼片は披針形。

Fig.5 アリアケスミレの葉。(兵庫県篠山市・休耕田の畦 2010.4/18)
  葉は水平に開くことが多い。葉身は線状披針形で、基部は切形またはわずかに心形。
  葉柄は葉身より短いものが多く、上部に短い翼がある。

Fig.6 花の色のバリエーション。(京都府福知山市・休耕田 2015.4/24)
  花弁の中央付近が薄っすらと淡紅紫色を帯びている集団。同一休耕田内のものは全てこのタイプだった。
  本来の「アリアケ」の名に近いものに思える色だ。

生育環境と生態
Fig.7 休耕田の畦に生育するアリアケスミレ。(兵庫県篠山市・休耕田の畦 2010.4/18)
ヒメオドリコソウ、ゲンノショウコ、ヘビイチゴ、ノビル、オオイヌノフグリなどとともに春の畦で開花していた。

Fig.8 梅林の林床に生育するアリアケスミレ。(西宮市・梅林 2011.4/18)
梅林の林床の湿った場所にアリアケスミレが点在していた。
ここではゲンゲ、ヒメオドリコソウ、ヒメジョオン、セイタカアワダチソウ、ヤハズエンドウ、コハコベ、オオイヌノフグリ、
コモチマンネングサなどとともに生育していた。

Fig.9 農道脇に生育するアリアケスミレ。(兵庫県篠山市・農道脇 2013.4/9)
日当たりよい農道脇のやや湿った草地にアリアケスミレが点在していた。
同所的にスギナ、スズメノヤリ、チガヤ、スイバ、ヤハズエンドウ、ミヤコグサ、シロツメクサ、コハコベ、オヘビイチゴ、ヨモギ、オオジシバリ、
ハナニガナ、ハルジオンなどが生育していた。


最終更新日:20th.June.2015

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