アスヒカズラ Lycopodium complanatum  L.
  山地・林縁・草地の植物 
 兵庫県RDB Aランク種
ヒカゲノカズラ科 ヒカゲノカズラ属
Fig.1 (兵庫県播磨・湿地 2011.6/8)
山地の明るい林縁や林床、湿地周辺に生育する地上性の常緑草本。
匍匐茎は地中または地上を長くはい、まばらに分枝し、径1〜2.7mm、鱗片状の葉をまばらにつける。
直立茎は斜上またはほぼ直立し、高さ(5〜)10〜30cm、扇状に分枝することが多い。
直立茎の小枝は扁平、葉とともに幅2〜4mm、表面は緑色で、裏面は淡緑色、節がはっきりしている。
葉は鮮緑色で、4列に並び、下部の半分以上が茎と合着し、先端は刺状。背葉は線形で圧着、側葉は幅広く、開出または内曲する。
複葉は小さく、鋭尖頭の先端部以外は茎に圧着する。胞子嚢穂は3〜10cmの柄に1〜5個つき、円柱形、長さ1〜3cm、径2〜4mm。
胞子葉は密につき、広卵形で鋭尖頭、辺縁は膜質、不規則な鋸歯がある。
近縁種 : ヒカゲノカズラ、 マンネンスギミズスギ、 ヤチスギラン

■分布:北海道、本州、四国(徳島県) ・ 北半球の温帯域
■生育環境:山地の明るい林縁や林床、湿地周辺など。

Fig.2 全草標本。(兵庫県播磨・湿地 2011.6/8)
  匍匐茎は地中または地上を長くはい、まばらに分枝する。直立茎は斜上またはほぼ直立し、扇状に分枝することが多い。

Fig.3 扇状に分枝した小枝。(兵庫県播磨・湿地 2011.6/8)
  直立茎から分枝した小枝は扁平で、ヒノキやアスナロの葉に似ることからアスヒカズラの名がある。

Fig.4 直立茎小枝。(兵庫県播磨・湿地 2011.6/8)
  直立茎の小枝は扁平、表面は緑色。葉は鮮緑色で、4列に並び、下部の半分以上が茎と合着し、先端は刺状。
  背葉は線形で圧着、側葉は幅広く、開出または内曲する。
  小枝の先端の黄緑色部分は今年になって伸び始めた部分。

Fig.5 胞子嚢穂を出しはじめたアスヒカズラ。(兵庫県播磨・湿地 2011.6/8)
  初夏に長い柄を立ち上げ、その先に円柱形の胞子嚢穂をつける。

生育環境と生態
Fig.6 湿地周縁部のオオミズゴケ群落中に生育するアスヒカズラ。(兵庫県播磨・湿地 2011.6/8)
湿地周縁部に広がるオオミズゴケ群落中に同属のマンネンスギ、ヒカゲノカズラや、ヤマテキリスゲ、オタルスゲ、モウセンゴケ、ヌマトラノオなどの湿生植物、
フモトスミレ、ヤマスズメノヒエ、シバスゲなどの草原性植物、イヌツゲやレンゲツツジなどの小低木とともに生育している。

Fig.7 湿地と植林地の境界部の明るい林縁部に群生するアスヒカズラ。(兵庫県播磨・湿地 2011.6/8)
ここではアスヒカズラ、マンネンスギ、ヒカゲノカズラの3種が混生しているが、マンネンスギは林床や乾いた場所まで広く適応しているが、
アスヒカズラは明るく、水分条件の良い場所を好む傾向があるようで、生育する場所が限られている。
ヒカゲノカズラは遅くまで雪の残る当該地域では条件が厳しいのか、他の2種に押され気味であった。


最終更新日:14th.Jul.2011

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