イノモトソウ Pteris multifida  Poir.
  里山・路傍・石垣のシダ イノモトソウ科 イノモトソウ属
Fig.1 (西宮市・石垣 2011.2/18)
人家周辺や里山の路傍、石垣などに生育する普通な常緑性シダ。
根茎は短く横にはい、黒褐色の鱗片を密生する。
葉には栄養葉と胞子葉の2型があり、ふつう胞子葉の柄は長く、立ち上がる。
葉柄は細長く、葉身とほぼ同長。葉は洋紙質で、光沢があり、中軸には翼がある。
裂片は線形、鋭尖頭、鋭鋸歯があり、下部の羽片はさらに少数の裂片に分れる。
胞子葉は羽片が細長く、胞子嚢群は葉縁に連続して並び、葉縁は裏側に反り返って苞膜となる。
近縁種 : オオバノイノモトソウ、 マツザカシダ、 モエジマシダ

■分布:本州、四国、九州、沖縄 ・ 台湾、中国、インドシナ
■生育環境:人家周辺や里山の路傍、石垣など。

Fig.2 地上部標本。(西宮市・石垣 2011.2/18)
  草体はふつうオオバノイノモトソウよりも小さく、洋紙質で薄い。
  胞子葉の裂片は幅が狭い。

Fig.3 葉身裂片の間の中軸は翼がつく。(西宮市・石垣 2011.2/18)
  オオバノイノモトソウでは翼はない。

Fig.4 葉の表面。(西宮市・石垣 2011.2/18)
  側脈の多くは2叉して平行し、縁に到達せず直前で終わる。縁は鋭鋸歯が並ぶ。

Fig.5 胞子葉。(西宮市・石垣 2011.2/18)
  胞子葉は栄養葉よりも裂片の幅が狭くなる。

Fig.6 胞子葉の裏面拡大。(西宮市・石垣 2011.2/18)
  胞子嚢群(ソーラス)は葉縁に沿って連続して並び、中軸の翼にもつく。葉縁は裏側に反り返って苞膜となる。

生育環境と生態
Fig.7 社寺の湿った石垣に生育するイノモトソウ。(西宮市・石垣 2011.2/18)
コケむした古びた湿った石垣の隙間にヤブソテツやマメヅタなどとともに着生している。


最終更新日:20th.Feb.2011

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