イワオモダカ | Pyrrosia hastata (Houtt.) Ching | ||
山地・着生シダ 兵庫県RDB Bランク種 | ウラボシ科 ヒトツバ属 |
Fig.1 (兵庫県但馬地方・樹幹 2016.5/12) 深山の樹幹や岩上などに着生する常緑性シダ。 根茎は短く横走し、径4mm、、鱗片があり、葉をやや相接してつける。 鱗片は披針形〜卵状披針形、長さ約3mm、黒褐色で質はやや硬く、辺縁は膜質で毛状突起がある。 葉柄は淡褐色〜暗褐色で、淡褐色の星状毛を密生するが、古くなると裸出する。 葉身はほこ形で、掌状に3〜5裂し、長さ5〜15cm、幅3.5〜12cm。基部は心形〜広いくさび形。 中央の裂片は大きく、三角状披針形〜披針形、基部か中央部が最も広く、鋭尖頭、長さ3〜12cm。 1対の側裂片は狭三角状、先は尾状の鋭尖頭、長さ2〜6cm。もう1対の小型の側裂片が基部につくことがある。 葉裏は灰褐色〜赤褐色の星状毛で覆われて、褐色に見える。葉表には星状毛はほとんどなく、緑色〜暗緑色。 葉脈は外からは見えず、網状。ソーラスは主側脈の間に3〜7列に並ぶ。 イワダレヒトツバ(P. davidii)は葉が単葉でときに不規則な突起があり、葉幅0.6〜1.8cm。鱗片は全縁。 モミジヒトツバ(P. polydactylis)は台湾原産でよく栽培され、葉はモミジ状に深く5〜7裂する。 ビロードシダとの推定種間雑種にヤツシロヒトツバ(P. x nipponica)が愛知県から記録されている。 近縁種 : ヒトツバ、 イワダレヒトツバ、 モミジヒトツバ、 ビロードシダ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島南部 ■生育環境:深山の樹幹や岩上など。 |
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↑Fig.2 地上部標本。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) 葉柄は淡褐色〜暗褐色。葉身はほこ形で、掌状に3〜5裂し、基部は心形〜広いくさび形。 中央の裂片は大きく、三角状披針形〜披針形。1対の側裂片は狭三角状。もう1対の小型の側裂片が基部につくことがある。 |
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↑Fig.3 葉柄基部。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) 基部の鱗片は披針形〜卵状披針形、長さ約3mm、黒褐色でやや硬質、辺縁は膜質で毛状突起がある。 |
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↑Fig.4 葉柄。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) 葉柄には淡褐色の星状毛を密生するが、古くなると裸出する。画像のものは星状毛がほぼ落脱している。 |
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↑Fig.5 葉柄上部に残存していた星状毛。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) |
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↑Fig.6 葉表。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) 葉表には星状毛はほとんどなく、緑色〜暗緑色。星状毛は葉柄から続く基部の辺縁に、わずかに見られた。 |
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↑Fig.7 葉裏。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) 葉裏は灰褐色〜赤褐色の星状毛で覆われて、褐色に見える。網状の脈はわずかに認められる。 |
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↑Fig.8 葉裏の星状毛。1目盛=0.1mm。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) |
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↑Fig.9 ソーラスは主側脈の間に3〜7列に並ぶ。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) |
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↑Fig.10 ソーラス。1目盛=0.1mm。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) ソーラスは小さく、径約0.5mm。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 トチノキの樹幹に生育するイワオモダカ。(兵庫県但馬地方・樹幹 2015.10/30) 比較的湿潤な温帯林中のトチノキの老木に、小型のものを含めて5個体ほどのイワオモダカが着生していた。 トチノキにはツルアジサイが這い登り、オシャグジデンダとミヤマノキシノブも着生している。 |
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Fig.12 トチノキの樹幹に着生するイワオモダカ。(兵庫県但馬地方・樹幹 2016.5/12) イワオモダカはブナやトチノキの大木で見かけることが多い。地上高5m以上に着生していることが多く、撮影はなかなか容易ではない。 |