オカトラノオ Lysimachia clethroides  Duby
  里山・草地・林縁の植物 サクラソウ科 オカトラノオ属
Fig.1 (西宮市・林縁草地 2010.7/12)

Fig.2 (西宮市・林縁草地 2016.7/2)

丘陵〜低山、里山の草地や林縁に生育する多年草。
横走する地下茎の節から、地上茎を直立し、高さ60〜100cmになる。
茎は円柱形、白くて短い軟毛がまばらに生える。
葉は互生し、長楕円形または狭卵形、長さ6〜13cm、幅2〜5cm、鋭尖頭、基部はくさび形で柄に続く。
葉表全体と裏面脈上には短毛が散生し、裏面に淡色の腺点がある。
花は茎頂につく長い総状花序につく。花序は直立せず、上部は傾き、一方に偏って多数の花を開き、長さ10〜30cm、径2〜3cm。
花柄は長さ6〜10mm。萼裂片は狭長楕円形で鈍頭または鋭頭。花冠は白色、径8〜12mm、裂片は狭長楕円形で、鈍頭。
刮ハは卵球形、径2.5mm。
近縁種 : ヌマトラノオサワトラノオ、 トウサワトラノオ、イヌヌマトラノオ、ノジトラノオ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:丘陵〜低山、里山の草地や林縁など。
■花期:6〜7月

Fig.3 茎。(西宮市・墓地の草地 2010.7/9)
  茎は円柱形、白くて短い軟毛が生える。葉は互生する。

Fig.4 葉。(西宮市・墓地の草地 2010.7/9)
  長楕円形または狭卵形、鋭尖頭、基部はくさび形で柄に続く。

Fig.5 葉表面の拡大。(西宮市・墓地の草地 2010.7/9)
  全面に短毛が散生し、中央脈上と葉縁には短毛が密に生える。

Fig.6 花序。(西宮市・溜池土堤 2010.6/28)
  総状花序。上部は傾き、一方に偏って花が密につく。花は下方から開花する。

Fig.7 花序中軸と苞。(西宮市・墓地の草地 2010.7/9)
  花序中軸には茎よりも毛は少なく、稜があり、花柄基部には披針形の苞がつく。

Fig.8 オカトラノオの花。(西宮市・墓地の草地 2010.7/9)
  花冠は白色、径8〜12mm、ふつう5裂し、裂片は狭長楕円形で、鈍頭。
  雄蕊は5個、花糸には開出毛が生える。雌蕊は1個、雄蕊よりも短い。
  花柱は受粉前は淡黄緑色であるが、受粉後は橙褐色を帯びる。

Fig.9 成長途上の初夏の頃のオカトラノオ。(兵庫県たつの市・禿山の草地 2011.6/5)
  若い株は短毛が目立ち、草体は白味を帯びて見える。

生育環境と生態
Fig.10 墓地の草地に生育するオカトラノオ。(西宮市・墓地の草地 2010.7/9)
里山の山麓にある、墓地のやや湿った草地斜面に群生している。
同所的にヨモギ、ウツボグサ、カモジグサ、チガヤ、ススキ、ヒカゲスゲ、ノゲヌカスゲ、ドクダミ、ウド、ヒメヤブラン、アリマウマノスズクサ、
ヘクソカズラ、ノブドウ、ノアザミ、スイカズラ、センニンソウなどが生育している。

Fig.11 林縁草地に群生するオカトラノオ。(西宮市・墓地の草地 2010.7/12)
低山の遊歩道脇のススキ主体の林縁草地に群生が見られた。
タラノキなどが侵入して遷移が進みつつあり、ヘクソカズラ、ノブドウが多い。
競合種が大型種やツル性の植物であるため、開花したオカトラノオの草丈は80cm以上となっている。


最終更新日:8th.Dec.2016

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