オクマワラビ Dryopteris uniformis  (Makino) Makino
  山地・林床・林縁のシダ オシダ科 オシダ属
Fig.1 (西宮市・渓流畔の林床 2010.6/17)

Fig.2 (西宮市・山間村落の石垣 2011.11/14)

丘陵〜山地の向陽地〜日陰のやや湿った林床や林縁に生育する常緑性シダ。
根茎は太く直立または斜上し、葉を束生する。葉柄は葉身よりも短く、基部には広披針形〜線形の黒褐色の鱗片を密生する。
葉は光沢のない革質、淡緑色、ふつう1回(単)羽状腹葉、長楕円状披針形、長さ30〜60cm、幅15〜20cm、鋭尖頭、下半部はときに2回羽状に深裂することがある。
羽片は線状長楕円形、幅1〜3cm、先は尾状に鋭くとがり、さらに羽状に深裂し、短い柄がある。
裂片は長楕円形、円頭〜鈍頭、幅4〜7mm、上部にはかすかな鋸歯がある。
胞子嚢群(ソーラス)は葉身の中部〜上部につき、裂片中脈の両側に並び、支脈上に1個ずつつく。苞膜は腎円形。
クマワラビに似るが、クマワラビのように胞子嚢群がついた羽片が縮れることはない。
近縁種 : クマワラビミヤマベニシダ、 ミヤマクマワラビ

■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国東部
■生育環境:丘陵〜山地の向陽地〜日陰の林床や林縁など。

Fig.3 地上部標本。(西宮市・渓流畔の林床 2010.6/17)
  葉柄は葉身よりも短く、基部に鱗片を密生する。葉は長楕円状披針形、光沢のない革質。

Fig.4 葉柄基部。(西宮市・渓流畔の林床 2010.6/17)
  広披針形〜線形の鱗片を密生する。

Fig.5 鱗片の拡大。(西宮市・渓流畔の林床 2010.6/17)
  広披針形のもの。黒褐色で光沢がある。

Fig.6 羽片。(西宮市・渓流畔の林床 2010.6/17)
  羽片は線状長楕円形、先は尾状に鋭くとがる。
  基部近くでは羽状に全裂するが、上部に向かうにつれて切れ込みは浅くなり、最上部では浅裂する。

Fig.7 葉裏。(西宮市・渓流畔の林床 2010.6/17)
  胞子嚢群(ソーラス)は中部より上につき、クマワラビのように縮れない。

Fig.8 裂片。(西宮市・渓流畔の林床 2010.6/17)
  裂片は長楕円形、葉脈はあまり凹まず、円頭〜鈍頭、鋸歯は低く目立たない。

Fig.9 胞子嚢群。(西宮市・渓流畔の林床 2010.6/17)
  胞子嚢群(ソーラス)は裂片中脈の両側に並び、支脈上に1個ずつつく。苞膜は腎円形、全縁、脱落しやすい。

Fig.10 フィドルヘッド。(兵庫県加西市・照葉樹林の林床 2013.4/4)
  黒褐色の鱗片に覆われている。

生育環境と生態
Fig.11 落葉樹林下の渓流の脇に生育するオクマワラビ。(西宮市・渓流畔の林床 2010.6/17)
コチヂミザサ、タツナミソウの仲間などが生育する被植の少ない川岸にヤブソテツ、イノデなどとともに生育していた。

Fig.12 村落の石垣に生育するオクマワラビ。(西宮市・山間村落 2011.11/14)
山間にある村落の湿った石垣にヤマイヌワラビやヤブソテツ、イノデとともに生育している。
石垣の下にはカキドオシ、コバギボウシ、ツルボなどの生育が見られた。


最終更新日:6th.May.2013

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