ウラシマソウ Arisaema thunbergii  Blume
 subsp. urashima  (Hara) Ohashi et J.Murata
  林縁・林床の植物 サトイモ科 テンナンショウ属
Fig.1 (西宮市・林縁 2010.4/23)

Fig.2 (京都府綾部市・林縁 2013.5/2)

平地〜低山地の野原、林縁、林床に生える多年草。
球茎は扁球茎で、多数の子球をつける。
偽茎は葉柄より短い。葉は1(〜2)個、鳥足状に11〜17個の小葉をつける。
小葉は狭倒卵形、長楕円形または狭卵形で、鋭尖頭、全縁で深緑色。花序は葉よりも下に位置する。
仏炎苞の特に内側は濃紫色で白条があり、筒部は白色を帯びて淡紫褐色。口辺部はやや開出する。舷部は3角状卵形から広卵形で、長鋭尖頭。
付属体は下部でふくらみ、しだいに細くなって先は長く糸状に伸びる。

近縁種 : ナンゴクウラシマソウ、 ヒメウラシマソウ、 ムサシアブミ

■分布:北海道南部、本州、四国、九州(佐賀県)
■生育環境:平地〜低山地の野原、林縁、林床など。
■花期:4〜5月

Fig.3 開花した雄花。(西宮市・林縁 2010.4/23)
  ウラシマソウの花は紫褐色を帯び、付属体の先端が糸状に長く伸びるので、他のテンナンショウ属のものとの区別は容易である。
  次項で花の構造を解説する。

Fig.4 雄花の構造。(西宮市・林縁 2010.4/23)
  花序の核心部は仏炎苞に包まれて外からは見えない。ウラシマソウの付属体の柄は、付属体との境界が不明瞭である。
  雄花の花序には雄花が多数つき、花序軸の先は付属体となる。テンナンショウ属の花は概ねこのような構造を持つ。

Fig.5 雄花群の拡大。(西宮市・林縁 2010.4/23)
  花被片はなく、数個の雄蕊が合着したものが規則的に多数並ぶ。

Fig.6 ウラシマソウの葉。(西宮市・林縁 2010.4/23)
  葉はふつう1個が花よりも高い位置につき、11〜17個の小葉を鳥足状につける。

Fig.7 小葉。(西宮市・林縁 2010.4/23)
  小葉は狭倒卵形、長楕円形または狭卵形で、鋭尖頭。葉縁は波打つことはあっても全縁である。

Fig.8 成熟個体の周囲に見られた若い個体。(西宮市・林縁 2010.4/23)
  結実した花序が倒れ込んで多数発芽したものであろう。ウラシマソウではこのように固まって幼苗が見られることが多い。

生育環境と生態
Fig.9 山道脇の林縁草地で生育するウラシマソウ。(西宮市・林縁 2010.4/23)
山道脇の半日陰的な環境に多数の個体が生育している。周囲にシバ状に生育しているのはアリマイトスゲ、スミレはタチツボスミレ。
周辺にはヤブソテツ、シャガ、ミゾイチゴツナギ、オニタビラコ、ヒヨドリバナ、ヒヨドリジョウゴなどが見られた。

最終更新日:8th.Mar.2014

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