ヒカゲワラビ | Diplazium chinense (Baker) C.Chr. | ||
山地・林床のシダ 兵庫県RDB Bランク種 | イワデンダ科 ヘラシダ属 |
Fig.1 (神戸市・植林地の林床 2015.10/18) |
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Fig.2 (兵庫県丹波市・社寺林の林床 2016.9/27) 山地のやや陰湿な林下に生じる常緑性シダ。夏緑〜半常緑性。 根茎は短く横走し、葉は混みあってつく。葉柄は長さ20〜50cm、緑色、基部は汚褐色で鱗片がある。 鱗片は披針形〜狭披針形、長さ5〜8mm、幅1〜2mm、黒褐色、膜質、ほぼ全縁。 葉身は3角形、鋭尖頭、長さ幅ともに30〜60cm、3回羽状複生、鮮緑色で無毛。下部羽片に5cm前後の長い柄がある。 羽軸の裏に短毛はない。小羽片は長楕円形〜狭長楕円形、長さ3〜7cm、幅1.2〜1.7cm、基部は切形で有柄、尾状に鋭尖頭。 2次小羽片(裂片)は長楕円形、鈍頭、鈍鋸歯縁〜羽状浅裂。葉質は薄い草質。 ソーラスは線形、下端は裂片の中軸の両側に接してつくことが多く、苞膜は薄い膜質、縁は全縁。 オニヒカゲワラビ(D. nipponicum)は小羽片の裂片は基部が最も幅広く、包膜の縁は不規則に細裂し、鱗片の縁に突起がある。 タンゴワラビ(D. sacrosanctum)は2回羽状深裂し、光沢があり、やや厚味のある紙質、小羽片は長3角形、ソーラスは中間性。 シロヤマシダ(D. hachijoense)は2回羽状深裂、最下羽片の柄は短く、小羽片は広披針形となり、ソーラスは中間性。 シマシロヤマシダ(D. doederleinii)は2回羽状深裂、裂片はほぼ全縁。 近縁種 : オニヒカゲワラビ、 タンゴワラビ、 シロヤマシダ、 シマシロヤマシダ、 コウモウクジャク ■分布:本州(関東地方以西)、四国、九州、奄美群島、沖永良部島 ・ 済州島、中国、インドシナ ■生育環境:山地のやや陰湿な林下など。 |
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↑Fig.3 葉身は3角形、3回羽状複生、鮮緑色で無毛。(三重県・植林地の林縁 2015.11/16) |
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↑Fig.4 葉柄基部近くの鱗片。(三重県・植林地の林縁 2015.8/9) 鱗片は披針形〜狭披針形、長さ5〜8mm、幅1〜2mm、黒褐色、膜質、ほぼ全縁。 |
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↑Fig.5 下部羽片に5cm前後の長い柄がある。(三重県・植林地の林縁 2015.8/9) |
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↑Fig.6 小羽片。(三重県・植林地の林縁 2015.8/9) 小羽片は長楕円形〜狭長楕円形、長さ3〜7cm、幅1.2〜1.7cm、基部は切形で有柄、尾状に鋭尖頭。 |
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↑Fig.7 裂片。(三重県・植林地の林縁 2015.8/9) 裂片は長楕円形、鈍頭、鈍鋸歯縁〜羽状浅裂。葉質は薄い草質。 |
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↑Fig.8 中軸と羽軸裏。(三重県・植林地の林縁 2015.8/9) 中軸には鱗片も毛もない。羽軸裏も無毛。 |
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↑Fig.9 ソーラス。(三重県・植林地の林縁 2015.8/9) ソーラスは線形、下端は裂片の中軸の両側に接してつくことが多く、苞膜は薄い膜質、縁は全縁。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 植林地の林床に生育するヒカゲワラビ。(神戸市・植林地の林床 2015.10/18) シダ類の多い適湿な植林地の林床にヒカゲワラビが点在していた。 周囲にはベニシダ、トウゴクシダ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、イノデ、アイアスカイノデ、イノデモドキ、ドウリョウイノデ、 キヨスミヒメワラビ、クマワラビ、アイノコクマワラビ、ミゾシダ、フモトシダ、クジャクフモトシダ、キヨタキシダ、ヤマイヌワラビ、 ホソバイヌワラビなどが生育していた。 |
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Fig.11 植林地の林縁に生育するヒカゲワラビ。(三重県・植林地の林縁 2015.11/16) 溜池に面した密植された暗い植林地の林縁部に、帯状にヒカゲワラビの群生が見られた。 平野部の農道脇であるためか投棄物が多く、コンテリクラマゴケが広く生育しており、他にシダ類ではベニシダ、イノデ程度で、 草本ではニョイスミレ、コハコベ、ムラサキケマン、ヨツバムグラなどが見られた。 |