ヒメハイホラゴケ | Crepidomanes amabile (Nakai) K. Iwats. | ||
山地・着生シダ | コケシノブ科 アオホラゴケ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) 陰湿な山地の渓流畔などの岩壁に生育する常緑性シダ。 根茎は横走し、ところどころで分岐し、比較的狭い間隔で葉をつけ、褐色〜黒褐色の毛が密にはえる。 葉柄は基部近くまで翼があり、汚褐色の毛をまばらにつけ、長さ1〜3cm。 葉身は深緑色、三角状楕円形〜広披針形、鈍頭または鋭頭、長さ3〜5cm、幅1.5〜2cmのことが多いが、変異も多い。 3回羽状複葉で、中軸、羽軸、小羽軸には翼があってそれぞれ裂片と同じくらいの幅になる。 裂片は幅0.5〜0.7mm、数が多く、隣あうものが瓦状に重なりあうため、葉が一平面にならず、立体的に見える。 胞子嚢群(ソーラス)は裂片に単生し、葉の上半部、中軸寄りに多くつき、苞膜は浅いコップ状、縁はわずかに反転する。 ハイホラゴケ(C. birmanicum)は葉身が一平面に収まり、葉の長さ7〜18cm。 アオホラゴケ(C. latealatum)は裂片の1本の中央脈のほかに、脈と連続しない偽脈がある。 近縁種 : ハイホラゴケ、 アオホラゴケ、 コハイホラゴケ ■分布:北海道(後志)、本州(主に日本海側)、北九州 ・ 朝鮮南部 ■生育環境:山地の渓流畔の岩上など。 |
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↑Fig.3 全草標本。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) 根茎は横走し、葉は比較的短い間隔で生じる。 |
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↑Fig.4 根茎と葉柄。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) 根茎には褐色〜黒褐色の毛が密にはえる。葉柄は基部近くまで翼がある。 |
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↑Fig.5 葉。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) 葉身は3回羽状複葉、深緑色、三角状楕円形〜広披針形、鈍頭または鋭頭、長さ3〜5cm、幅1.5〜2cmのことが多い。 |
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↑Fig.6 葉身の一部拡大。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) 裂片は数が多く、重なり合って、葉身は立体的になる。 |
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↑Fig.7 中軸の翼。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) 中軸や羽軸などには翼がつく。 |
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↑Fig.8 ソーラス。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) 胞子嚢群は裂片に単生し、葉の上半部、中軸寄りに多くつく。苞膜は浅いコップ状。 |
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↑Fig.9 ソーラスの拡大。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) |
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↑Fig.10 葉裏から見たソーラス。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) |
生育環境と生態 |
Fig.11 陰湿な渓流畔の岩壁に群生するヒメハイホラゴケ。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) 照葉樹林の陰となった湧水のにじむ岩壁のほぼ全体を被ってヒメハイホラゴケが群生していた。 ヒメハイホラゴケ群落中にはイノデ、ベニシダ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダの小さな個体のほか、タチネコノメソウ、マルバコンロンソウが点在する。 |
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Fig.12 上の群落の一部を接近撮影。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.3/31) ヒメハイホラゴケ群落中にマルバノコンロンソウと、タチネコノメソウの幼苗が見える。 |