コハイホラゴケ Crepidomanes orientalis
  var. angustata  Christ
  山地・着生シダ コケシノブ科 アオホラゴケ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・岩壁に着生 2011.4/15)

Fig.2 (兵庫県丹波市・岩壁に着生 2014.1/28)

陰湿な山地の岩上、岩壁に着生する常緑性のシダ。ヒメハイホラゴケとハイホラゴケの種間雑種。
ヒメハイホラゴケよりやや大きく、葉面はおおむね平面的であるが、基部近くの裂片は一部重なり合い、立体的となる。
裂片の幅はハイホラゴケよりも広い。胞子は不斉で、不稔のものがほとんどである。
近縁種 : ヒメハイホラゴケ、 ハイホラゴケ、 アオホラゴケ

■分布:ヒメハイホラゴケとハイホラゴケの混生地
■生育環境:山地の岩上、岩壁など。

Fig.3 全草標本。(兵庫県篠山市・岩壁に着生 2011.4/15)
  葉は混みあってつくが、画像のものは複雑に根茎が伸びて絡み合い、非常に混みあっている。

Fig.4 根茎。(兵庫県篠山市・岩壁に着生 2011.4/15)
  根茎には黒褐色〜茶褐色の毛が密生する。

Fig.5 葉。(兵庫県篠山市・岩壁に着生 2011.4/15)
  葉は一部重なり合うが、ヒメホラゴケのように裂片の一部が直立したり斜上することは少なく、おおむね平面的。
  基部付近では一部斜上するような裂片があった。
  裂片の幅はハイホラゴケよりも広く、ヒメハイホラゴケよりも少し狭い。

Fig.6 ソーラス。(兵庫県篠山市・岩壁に着生 2011.4/15)
  ソーラスはラッパ形、棒状の胞子嚢床が突き出す。

Fig.7 胞子。(兵庫県篠山市・岩壁に着生 2015.4/9)
  胞子は粒が揃っておらず、内部が空洞のものも多く、ほぼ不稔と見られる。

生育環境と生態
Fig.8 岩壁に密生するコハイホラゴケ。(兵庫県篠山市・岩壁 2011.4/15)
湧水のしたたる岩壁下部の一画をコハイホラゴケが密生していた。
岩壁にはシシラン、ヌリトラノオ、フジシダ、ジュウモンジシダ、チャルメルソウ、タチネコナメソウ、サンショウソウなどが見られた。
近くの岩壁にヒメハイホラゴケは生育していたが、ハイホラゴケは見つけることができなかった。

Fig.9 岩壁の日陰部分に密生するコハイホラゴケ。(兵庫県宍粟市・岩壁 2013.5/8)
裂片は平面的に並びハイホラゴケ的だが、草体の長さが5cm以下と短く、コハイホラゴケだと思う。
岩壁の大部分が日当たりよいが、一画だけがチシマザサが少し被って日陰となり、そこに密生していた。
日陰部分にはムクムクゴケやゼニゴケ類が、日向部分ではサンインシロカネソウ、チシマネコノメソウが生育している。


最終更新日:10th.May.2015

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