ヒメミコシガヤ Carex laevissima  Nakai
  里山・草地の植物
  環境省絶滅危惧TB類(EN)・兵庫県RDB Aランク種
カヤツリグサ科 スゲ属 ミノボロスゲ節

Fig.1 (兵庫県神戸市・農道脇 2010.6/4)

Fig.2 (兵庫県神戸市・休耕田 2013.5/19)

丘陵〜低山のやや湿った草地や農道脇に生育する多年草。
根茎は短く叢生する。葉は幅2〜3mm、鞘部前面は膜質で横皺がある。
有花茎は高さ15〜40cm、鋭稜があって少しざらつく。
花序は無柄の小穂を円柱状に密につけ、長さ2〜5cm、幅約1cm、苞は最下のもののみ短い葉身がある。
小穂はふつう雄雌性、まれに一部単生、長さ5〜8mm。雌鱗片は狭卵形で鋭尖頭、果胞より少し短い。
果胞は狭卵形で平凸形、長さ3〜4mm、縁は鋭稜があってやや平滑、基部は海綿質にやや肥厚し、上部はしだいに長嘴となり、口部は2歯。
痩果は楕円形で長さ1mm。柱頭は2岐する。
近縁種 : ミノボロスゲツクシミノボロスゲ、 キビノミノボロスゲ

メモ:スゲ属のなかでも分布が極限される稀な種で、自生地の遷移により急激に減少した。
   西宮市内からもかなり古い記録があるが、現在では見られず、どこに生育していたかも分かっていない。
■分布:本州(兵庫県、岡山県) ・ 朝鮮半島、中国東北部、ウスリー
■生育環境:丘陵〜低山の草地、農道脇など。
■果実期:5〜6月

Fig.3 葉。(兵庫県神戸市・農道脇 2010.6/4)
  葉は濃緑色、やややわらかく、革質で鈍い光沢があり、有花茎よりも短い。葉縁は少しざらつく。

Fig.4 葉鞘。(兵庫県神戸市・農道 2013.5/19)
  葉鞘には横しわが入ることが多い。

Fig.5 花序。(兵庫県神戸市・農道脇 2010.6/4)
  花序には無柄で雄雌性の小穂が密につく。

Fig.6 小穂。(兵庫県神戸市・農道脇 2010.6/4)
  小穂の頂端は1〜数花からなる雄花部が直立し、その下の雌花部には雌花がやや開出気味に多数つく。

Fig.7 果胞。(兵庫県神戸市・農道脇 2010.6/4)
  果胞は狭卵形、横断面は片方がふくらみ、もう一方が平らな平凸形。下方に黒褐色の帯があり、基部はやや肥厚し、嘴は長い。

Fig.8 痩果。(兵庫県神戸市・農道脇 2010.6/4)
  痩果は楕円形、横断面は両凸形、褐色に熟し、表面には光沢がある。

生育環境と生態
Fig.9 農道脇にまばらに群生するヒメミコシガヤ。(兵庫県神戸市・農道脇 2010.6/4)
日当たりの良い農道脇の半裸地状の草地に多数の個体が生育していた。脇には水路があり、草地はやや湿った状態である。
周辺ではジュズスゲ、カワラスゲ、マスクサなど同様な環境に見られるスゲ類が生育している。

Fig.10 休耕田で生育するヒメミコシガヤ。(兵庫県神戸市・休耕田 2013.5/19)
ヒメミコシガヤは多湿な湿地状の場所でも生育できるようだ。
同所的にゴウソ、ホナガヒメゴウソ、タチスゲ、チゴザサ、イグサ、ホソイ、ハナビゼキショウ、キツネノボタンなどが生育していた。

Fig.11 草刈り管理されて草地状となった休耕田で生育するヒメミコシガヤ。(兵庫県神戸市・休耕田 2013.5/19)
後方の褐色を帯びた小穂を持つものがヒメミコシガヤ、手前はアワボスゲでこの2種が同時に見られる場所は極めて稀である。
ここではゴウソ、タチスゲ、ホナガヒメゴウソ、ヤワラスゲ、エゾアブラガヤ、ハリイ、スズメノヤリ、ハナビゼキショウ、イグサ、ホソイ、ススキ、
チガヤ、ヤマヌカボ、カモジグサ、スズメノテッポウ、キツネノボタン、イヌガラシ、セリ、オヤブジラミ、ヤハズエンドウ、シロツメクサ、ヤハズソウ、
ミヤコグサ、オランダミミナグサ、オオバコ、カナビキソウ、トキワハゼ、タチイヌノフグリ、ヨモギ、セイタカアワダチソウ、アメリカセンダングサ、
スギナなどとともに生育している。
カナビキソウはヒメミコシガヤの株元付近にも多く見られ、もしかすると寄生しているのかもしれない。
この休耕田は湛水する湿地状の部分もあり、そこではホソバヘラオモダカ類似品、タコノアシ、エゾアブラガヤ、セイタカハリイ、サイコクヌカボなど
比較的稀な種が生育し、稀少種保護地として草刈り管理されている。



最終更新日:9th.Mar.2014

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