ヒロバスゲ Carex insaniae  Koidz.
  林縁・林床の植物 カヤツリグサ科 スゲ属 ヒエスゲ節
Fig.1 (兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)

Fig.2 (兵庫県養父市・山地のチシマザサ林縁 2014.5/30)

山地〜亜高山帯のやや湿った林縁や林床に生育する多年草。
まばらに叢生し、匐枝はない。基部の鞘は淡色。葉は濃緑色で、幅8〜15mm、有花茎よりも高い。
有花茎は高さ5〜30cm。短いものは葉の基部に埋もれ、倒伏する。
雄小穂は棍棒状で長さ1〜3cm、幅3〜4mm。鱗片は一部赤色を帯びる。
雌小穂はたがいに離れてつき、1〜3個、長さ0.6〜2cm。苞は鞘があり、葉身は小穂より短い。
果胞は多数の細脈があり有毛、長さ5〜6mm、嘴は短く、口部は凹形。
痩果は稜の中央付近に深い凹入があり、長さ3〜4mm、頂部の付属体は環状で太い柄がある。
近縁種 : アオバスゲ、 サンインヒエスゲ、アオヒエスゲ

■分布:北海道、本州(主に日本海側)、九州(大分県)
■生育環境:山地〜亜高山帯のやや湿った林縁や林床など。
■果実期:5〜6月

Fig.3 全草標本。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
  まばらに叢生し、匐枝はない。草体はよく似たアオバスゲよりも少し小型で、葉幅が広い。
  常緑性で、昨年の葉が残っている。

Fig.4 基部の鞘は淡色。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
  右斜め下に向かうシュートが見えるが、匐枝ではなく、短い有花茎が下向きに伸びているもの。

Fig.5 葉。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
  葉は濃緑色で、幅8〜15mm、縁は少しざらつき、3脈が目立ち、横断面はM字形、常緑で昨年の葉が残る。

Fig.6 有花茎。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
  頂小穂は雄性、側小穂は雌性でたがいに離れて1〜3個つく。

Fig.7 よく発達した個体の花序。(兵庫県養父市・山地の林縁 2014.5/30)
  雌小穂が大きく、よく発達している。

Fig.8 短い有花茎。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
  有花茎は長いもののほかに、根際近くに短いものを多くつけ、倒伏する。

Fig.9 雄小穂。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
  雄小穂は棍棒状で長さ1〜3cm、幅3〜4mm。鱗片は一部赤色を帯びる。

Fig.10 雌小穂。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
  雌小穂はたがいに離れてつき、1〜3個、長さ0.6〜2cm。苞は鞘があり、葉身は小穂より短い。

Fig.11 果胞と雌鱗片。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
  果胞は多数の細脈があり有毛、長さ5〜6mm、嘴は短く、口部は凹形。アオバスゲの果胞よりも大きい。
  雌鱗片は果胞よりも短く、鈍頭〜凹頭、短い芒がある。

Fig.12 痩果。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
  痩果は稜の中央付近に深い凹入があり、長さ3〜4mm、頂部の付属体は環状で太い柄がある。

生育環境と生態
Fig.13 ブナ帯の広葉樹林下に生育するヒロバスゲ。(兵庫県宍粟市・山地の林床 2011.6/9)
兵庫県下では日本海側の北播から但馬地方の山地に分布域が集中しており、主にブナ帯下部から上に生育する。
ここではブナ帯下部のオオイタヤメイゲツの多い広葉樹林下に点々と生育していた。

Fig.14 チシマザサ群落の切れ目に生育するヒロバスゲ。(兵庫県養父市・山地のチシマザサ林縁 2014.5/30)
同所的にブナ、アカミイヌツゲ、ツルアジサイの幼低木、ツルシキミ、シラネワラビ、シノグカグマ、コバノフユイチゴ、サワオトギリ、
ヒョウノセンカタバミ、ニガナなどが見られた。



最終更新日:18th.Nov.2014

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