ヒロハヤブソテツ | Cyrtomium macrophyllum (Makino) Tagawa var. macrophyllum |
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山地・林床の植物 兵庫県RDB Bランク種 |
オシダ科 ヤブソテツ属 |
Fig.1 (兵庫県丹波地方・樹林下の岩場 2015.8/12) 山地のやや陰湿な林床、特に斜面や岩場などに見られる常緑性のシダ。 根茎と葉柄基部の鱗片は狭卵形〜披針形、急に鋭尖頭、長さ1cm内外、硬質、暗褐色で光沢がある。 葉柄は長さ20〜30cm、わら色で基部は暗色、鱗片は上部に向かうほどまばらにつき、狭披針形から線形となる。 葉身は頂羽片のはっきりした単羽状複葉、側羽片はふつう2〜8対、大きな側羽片は卵形〜卵状長楕円形で、基部は円形で短柄がある。 葉縁はほぼ全縁で、先端部分にわずかに鋸歯があり、先は鋭尖頭。頂羽片はふつう大きいが、側羽片の数が多いものでは、側羽片と同様になることがある。 小さな側羽片は長楕円形で先が鎌状になり、基部前側に丸みのあるふくらみをもつこともある。葉質は紙質で淡緑色。 ソーラスは中肋近くからつきはじめ、全面に分布。苞膜は円形、緑色〜灰白色、縁は全縁〜波状縁。染色体数は'n'=123の3倍体無融合生殖。 変種ツクシヤブソテツ(var. tukusicola)は側羽片の幅が狭く長楕円形〜狭長楕円形、基部は広いくさび形、頂羽片は小さい。 変種クマヤブソテツ(var. microindusium)は側羽片基部は広いくさび形。包膜はソーラスの半分の大きさで黒褐色。熊本。 オニヤブソテツ(C. falcatum)は羽片は厚い革質で光沢があり、ふつう先まで鋸歯がない。包膜は円形、中心部が黒褐色、辺縁部は灰白色。 メヤブソテツ(C. caryotideum)は羽片に明瞭な耳片があり、辺縁に鋭い細鋸歯がある。ふつう包膜は灰白色、不規則な鋸歯縁となる。 ヤマヤブソテツ(C. fortunei var. clivicola)はふつう側羽片が10〜15対、側羽片は幅狭く長楕円形で基部の耳片は明瞭。 近縁種 : ツクシヤブソテツ、 オニヤブソテツ、 ナガバヤブソテツ、 メヤブソテツ、 ヤブソテツ、 ヤマヤブソテツ、 ミヤコヤブソテツ ■分布:本州、四国、九州 ・ 中国〜ヒマラヤ ■生育環境:山地林床の斜面など。 |
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↑Fig.2 地上部標本。(兵庫県丹波地方・樹林下の岩場 2015.8/12) 葉柄は長さ20〜30cm、わら色で基部は暗色。葉身は頂羽片のはっきりした単羽状複葉、側羽片はふつう2〜8対。 側羽片の基部は丸いため、中軸との間にほとんど隙間がないように見える。葉質は紙質で淡緑色、やや光沢がある。 |
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↑Fig.3 基部鱗片。(兵庫県丹波地方・樹林下の岩場 2015.8/12) 葉柄基部の鱗片は狭卵形〜披針形、急に鋭尖頭となってよじれ、長さ1cm内外、硬質、暗褐色で光沢がある。 |
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↑Fig.4 側羽片。(兵庫県丹波地方・樹林下の岩場 2015.8/12) 大きな側羽片は卵形〜卵状長楕円形で、基部は円形で短柄がある。側羽片前側基部に耳片は見られない。 |
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↑Fig.5 頂羽片と上部側羽片。(兵庫県丹波地方・樹林下の岩場 2015.8/12) 頂羽片はふつう側羽片よりも大きくなるが、側羽片の多いものでは同等の大きさになる。 小さな側羽片は長楕円形で先が鎌状になり、時に基部前側に丸みのあるふくらみをもつこともある。 |
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↑Fig.6 側羽片の上部。(兵庫県丹波地方・樹林下の岩場 2015.8/12) わずかに低い鋸歯が並ぶ程度で、肉眼ではほとんど目立たない。 |
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↑Fig.7 ソーラス。(兵庫県丹波地方・樹林下の岩場 2015.8/12) ソーラスは中肋近くからつきはじめ、全面に分布。 |
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↑Fig.8 包膜。(兵庫県丹波地方・樹林下の岩場 2015.8/12) 苞膜は円形、緑色〜灰白色、縁は全縁〜波状縁。 |
生育環境と生態 |
Fig.9 岩場に生育するヒロハヤブソテツ。(兵庫県丹波地方・樹林下の岩場 2015.8/12) 谷筋林下の斜面にある岩場に、1個体のみ生育していたもの。周囲は植林地だが、岩場周辺部は落葉低木が生育している。 シカの食害の激しい地域で植生は乏しく、シダ類ではコバノイシカグマ、イワヒメワラビ、オオバノイノモトソウ、オオバノハチジョウシダなどの シカ忌避シダ類のほか、岩場ではリョウメンシダ、ヒメサジラン、コハイホラゴケ、ホソバコケシノブ、キヨタキシダ、ハリガネワラビなどが見られた。 草本ではチャルメルソウ、コンロンソウ、ミヤコミズ、イケマなどが生育していた。 |