ホソバコケシノブ Hymenophyllum polyanthos  (Sw.) Sw.
  山地・着生シダ コケシノブ科 コケシノブ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2009.6/4)
Fig.2 (兵庫県丹波市・林下の岩上 2011.2/8)
山地の湿った岩上や岩壁、樹幹などに着生する小型の常緑性シダ。
根茎は暗褐色の硬い糸状で、長く横に伸び、葉をまばらにつける。
葉は長さ10〜15cm、硬い膜質、緑色でときに淡褐色を帯び、葉柄上部にはごく狭い翼がある。
葉身は卵状ひし形または広披針形で尾状に長く伸び2〜3回羽状複葉。
羽片は互生し、卵状披針形または長楕円形、小羽片はくさび形に近い倒卵形、裂片は線状で幅は狭い。
胞子嚢群(ソーラス)はふつう羽片の中〜下部の短い裂片につき、苞膜は卵形。

コケシノブH. wrightii)に似るが、コケシノブは裂片が軸につく角度が30〜45度となるのに対し、
ホソバコケシノブでは45〜70度と、広い角度でつくことにより区別される。
近縁種 : コウヤコケシノブコケシノブ、 アオホラゴケ、ハイホラゴケ

■分布:本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、台湾、中国、ヒマラヤ、東南アジア、アメリカ
■生育環境:山地の湿った岩上や岩壁、樹幹など。

Fig.3 全草標本。(兵庫県丹波市・渓流畔の岩壁 2011.2/8)
  根茎は暗褐色の硬い糸状で、長く横に伸び、葉をまばらにつける。

Fig.43 根茎。(兵庫県丹波市・渓流畔の岩壁 2011.2/8)
  根茎は暗褐色の硬い糸状。緑色部分は展開しつつある若い葉の葉柄。

Fig.5 葉身の拡大。(兵庫県丹波市・渓流畔の岩壁 2011.2/8)
  葉身の中軸には狭い翼がある。羽片は中軸に対して45〜70度の角度でつき、裂片は全縁、先端は少し凹む。

Fig.6 羽片の胞子嚢群。(兵庫県丹波市・渓流畔の岩壁 2011.2/8)
  胞子嚢群(ソーラス)は羽片の中部から基部近くの短い裂片の先につく。

Fig.7 胞子嚢群。(兵庫県丹波市・渓流畔の岩壁 2011.2/8)
  苞膜は2深裂した卵形、円頭。やや大きな苞膜では横にひろがり、上端が平坦となるものもある。
  苞膜の口部からは、胞子嚢がはみ出ており、付属する環体が目立つ。

生育環境と生態
Fig.8 岩壁に着生するホソバコケシノブ。(兵庫県丹波市・渓流畔の岩壁 2011.2/8)
渓流畔にある湧水がしたたる半日陰の岩壁に生育している。
岩壁は多湿のためホソベリミズゴケ、オオスギゴケ、ムチゴケの仲間、オオシラガゴケ、ミズゼニゴケの仲間などが密に生える場所、
ホソバコケシノブとコウヤコケシノブがパッチ状に群生する場所などが入り混じっており、群落中にはシシランやヌリトラノオが点在する。

Fig.9 岩壁に密生するホソバコケシノブ。(兵庫県丹波市・渓流畔の岩壁 2011.2/8)


最終更新日:17th.Feb.2011

<<<戻る TOPページ