ケタガネソウ Carex ciliatomarginata  Nakai
  里山・林縁の植物 カヤツリグサ科 スゲ属 タガネソウ節
Fig.1 (西宮市・林縁 2010.5/2)
丘陵〜低山のやや乾いた林縁に生育する多年草。
根茎は分枝して斜上し、マット状に広がる。
葉は広披針形で幅1〜2cm、両面に軟毛があり、縁にやや長い毛がある。花期には前年葉は枯れる。
有花茎は高さ5〜15cm、有毛。有花茎につく葉は退化して苞と同形。苞は長卵形で基部は鞘となる。
頂小穂は雄性または雄雌性、長さ0.5〜1cm。側小穂はふつう1節に1個ずつつき、雄雌性で基部に果胞を2〜3個つけ、長さ0.5〜1cm。
果胞は長さ3.5〜4mm、明らかな脈が目立ち、有毛。柱頭は3岐する。

【メモ】 私の在住する西宮市内では丘陵部の小さな棚田にわずかに見られるが、この場所も宅地建設予定地となっている。
     身近な里山から1つづつ馴染み深い植物が消えていってしまうのは実に寂しい限りである。
     ケタガネソウのような地味は草本はほとんど見向きもされないまま、知らないうちに消えていってしまう。
近縁種 : タガネソウササノハスゲ

■分布:本州、四国、九州、対馬 ・ 朝鮮半島、中国東北部
■生育環境:丘陵〜低山のやや乾いた林縁など。
■果実期:4〜5月

Fig.2 全草標本。(西宮市・林縁 2010.4/24)
  斜上する根茎の先から根生葉と花茎を束生する。基部には斜上する根茎が見える。

Fig.3 基部。(西宮市・林縁 2010.4/24)
  基部は出芽〜花期では紅色を帯びる。地中から根茎が伸びる。

Fig.4 ケタガネソウの葉。(西宮市・林縁 2010.4/24)
  葉には両面ともに軟毛が生えるが、特に裏面にいちじるしい。

Fig.5 花序。(西宮市・林縁 2010.4/24)
  花序には軟毛が生える。頂小穂はふつう雄性ときに雄雌性。側小穂は雄雌性。苞は小穂よりも短く、鞘があって茎をゆるく包む。
  花茎は柔らかく、果実期には倒伏したり、しなだれているものが多い。(Fig.1 参照)

Fig.6 頂小穂。(西宮市・林縁 2010.4/24)
  ふつうは雄性で雄花が多数集まって長卵形となる。雄鱗片は披針形で褐色。
  ときに雄雌性の頂小穂も見られる。

Fig.7 側小穂。(西宮市・林縁 2010.4/24)
  雄雌性で頂部に雄花数個がつき、下方に雌花が2〜3個ややまばらにつく。

Fig.8 開花中の草体。(西宮市・草地斜面 2013.3/31)
  春早くから開花する。有花茎は前年の枯れた葉がつくシュートから出る。
  新葉は前年のシュートから出た根茎に先から出る。

Fig.9 開花中の頂小穂(左)と側小穂(右)。(西宮市・草地斜面 2013.3/31)
  新鮮な雌蕊柱頭は紅色を帯びて美しい。

生育環境と生態
Fig.10 半日陰の草地斜面に生育するケタガネソウ。(西宮市・草地斜面 2013.4/15)
自宅の庭の一部で、クヌギ、エノキなどの落葉広葉樹が生育する斜面が残されており、そこに生育している。
草地斜面にはフユノハナワラビやノコンギクも残っており、大切にしたい。



最終更新日:20th.Oct.2014

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