キジノオシダ Plagiogyria japonica  Nakai
  里山・林縁・林床のシダ キジノオシダ科 キジノオシダ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・林床 2015.6/22)

Fig.2 (兵庫県篠山市・林床 2015.6/22)

里山〜山地の林床などに地上生するふつうな常緑性シダ。
根茎は斜上し、らせん状につく葉が叢生する。
栄養葉は葉柄が長さ7〜30cm、葉身は長さ15〜50cm、幅は約15cm、単羽状全裂する。
羽片は無柄、鎌状には曲がらず、鋸歯縁となる先端部をのぞいて全縁、基部の沿着部は上側が広くなる。
上部の羽片は徐々に短くなり、先端ははっきりとした頂羽片となる。
胞子葉の羽片は線形で、短い柄がつく。胞子は表面に瘤状の突起がまばらにつく。
染色体数はn=ca.100と2n=260で4倍体と推定されている。

オオキジノオP. euphlebia)は下部の羽片には明瞭な柄があり、上部の羽片の沿着部は下側が広い。
タカサゴキジノオP. adnata)は羽片が鎌状に曲がり、頂羽片は不明瞭。伊豆半島以西の暖地。
キジノオシダを片親とする推定種間雑種に以下のものがある。
アイキジノオP. x wakabae)はタカサゴキジノオとの推定種間雑種。伊豆半島以西。
フタツキジノオP. x sessilifolia)はキジノオシダとの推定種間雑種。伊豆半島以西。
近縁種 : オオキジノオ、 タカサゴキジノオ、 ヤマソテツ

■分布:本州、四国、九州 ・ 済州島、台湾、中国
■生育環境:里山〜山地の林床など。

Fig.3 地上部標本。左は栄養葉、右は胞子葉。(西宮市・林床 2011.12/19)
  栄養葉は葉柄が長さ7〜30cm、葉身は長さ15〜50cm、幅は約15cm、単羽状全裂する。

Fig.4 羽片。(兵庫県篠山市・林床 2015.6/22)
  羽片は無柄、鎌状には曲がらず、鋸歯縁となる先端部をのぞいて全縁、基部の沿着部は上側が広くなる。

Fig.5 脈は2叉し、網状脈とならない。(西宮市・林床 2011.12/19)

Fig.6 葉身上部。(西宮市・林床 2011.12/19)
  明瞭な頂羽片がある。

Fig.7 胞子葉の一部。(西宮市・林床 2011.12/19)
  胞子葉の羽片は線形、ごく短い柄がある。

Fig.8 ソーラス。(西宮市・林床 2011.12/19)
  胞子嚢は脈に沿ってソーラスをつくり、包膜はない。

Fig.9 フィッドルヘッド。(兵庫県篠山市・林床 2011.4/29)
  フィドルヘッドは粘性がある。

生育環境と生態
Fig.10 渓流畔の岩上に生育するキジノオシダ。(西宮市・渓流畔の岩上 2011.2/18)
花崗岩地で乾いた場所の多い西宮市のような地域では、キジノオシダは樹林の被るような渓流畔の岩上に出現することが多い。
岩場からはクラックから少量の湧水がしみだして、常時水分が供給されており、同所的にウラジロ、ベニシダ、トウゴクシダ、イノデ、
ヒロハイヌワラビ、コウヤコケシノブ、ヒカゲスゲ、クサスゲなどが生育している。


最終更新日:1st.Aug.2016

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