コハシゴシダ Thelypteris angustifrons  (Miq.) Ching
  低山・里山・林縁・林床のシダ ヒメシダ科 ヒメシダ属
Fig.1 (西宮市・社寺境内 2013.9/10)

里山、平地の林縁や路傍などに生育する常緑性シダ。ハシゴシダに似るが小型。
根茎は長く横走し、鱗片をつける。葉柄は長さ2〜4(〜8)cm、わら色で有毛、基部は暗色で鱗片がある。
葉身は披針形、長さ(6〜)10〜17(〜25)cm、幅は狭く4〜7cm。
大きな羽片の最下前側の裂片は他の裂片から完全に遊離し、やや大型、羽片に短い柄がつくことがある。裂片の先は鋭頭。
ソーラスは馬蹄形〜半月形で、やや長い。

ハシゴシダT. glanduligera)は羽片の最下前側の裂片は他のものと遊離せず、形や大きさも変わらない。
ヒメハシゴシダT. cystopteroides)は葉がほとんど無毛で、裂片の先は円頭〜鈍頭。本州南部以南〜沖縄。
近縁種 : ハシゴシダ、 ハリガネワラビヤワラシダ、 ハシゴシダ

■分布:本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、台湾、中国内陸部
■生育環境:里山、平地の林縁や路傍など。

Fig.2 地上部標本。(西宮市・社寺境内 2014.7/29)
  葉柄は葉身よりも短く、基部は暗色。葉身は披針形、鋭頭〜鋭尖頭、2回羽状深裂、基部はしだいに狭くなる。

Fig.3 葉柄基部。(西宮市・社寺境内 2014.7/29)
  鱗片は褐色、長三角状長楕円形、鋭頭、まばらに毛がある。

Fig.4 羽片。(西宮市・社寺境内 2014.7/29)
  羽片は羽状に深裂、披針形〜線状披針形、基部は切形〜幅広いくさび形、毛が生える。

Fig.5 最下前側の裂片。(西宮市・社寺境内 2014.7/29)
  最下前側の裂片は他の裂片から完全に遊離し、やや大型、ときに短柄がある。 中軸には開出毛が多い。

Fig.6 羽片裏面。(西宮市・社寺境内 2014.7/29)
  ソーラスは中肋と辺縁の中間〜やや辺縁寄りにつく。

Fig.7 包膜。(西宮市・社寺境内 2014.7/29)
  包膜は馬蹄形〜半月形で、縁毛があり、やや長い。 周囲にはソーラスが弾けて、黒い小さな胞子が散らばっている。
  葉裏には黄色で無柄の微細な腺点が点々と見られた。

生育環境と生態
Fig.8 社寺境内の池の脇に生育するコハシゴシダ。(西宮市・社寺境内 2014.7/29)
多少スギの木立が陰をつくる神社参道の池の脇に生育しているもので、時に草刈りに遭う場所。
ここではシケシダ、オクマワラビ、ベニシダ、ヨメナ、イノコヅチ、ナガバハエドクソウ、ケヤブハギ、ツルニンジンなどとともに生育している。

Fig.9 住宅地の草地斜面に生育するコハシゴシダ。(西宮市・草地斜面 2014.8/18)
住宅地の日当たり良い乾いた草地斜面に生育しているもので、裂片が裏側に反り、少しいじけた姿となっている。
ここでは刈り込まれたネザサ、トボシガラ、ナガハグサ、ナギナタガヤ、アオスゲ、カタバミ、アキノタムラソウなどと生育している。


最終更新日:21st.Aug.2014

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