ミドリヒメワラビ Thelypteris viridifrons  Tagawa
  里山・林縁・林床のシダ ヒメシダ科 ヒメシダ属
Fig.1 (兵庫県三田市・雑木林の林床 2011.7/23)

Fig.2 (西宮市・旧畑作地の林縁 2016.7/23)

里山の疎林の林床や向陽な林縁に生育する夏緑性シダ。
ヒメワラビによく似るが、葉身は鮮緑色(標本では暗緑色となる)、3回羽状深裂〜複葉、各羽片間の間隔はやや広い。
小羽片はややまばらにつき、広披針形〜3角状長楕円形とやや幅広く、基部は切形〜心形、小羽軸には狭い翼があり、短い柄がある。
葉脈は辺縁に達しない。胞子嚢群は辺縁と中肋の中間につき、苞膜は小さな腎円形、有毛。
近縁種 : ヒメワラビイワヒメワラビ

■分布:本州(宮城県以南)、四国、九州 ・ 朝鮮南部、中国南部
■生育環境:里山の疎林の林床や向陽な林縁など。

Fig.3 地上部標本。(兵庫県三田市・農道脇草地 2011.8/15)
  葉柄はわら色。葉身は鮮緑色、3回羽状深裂〜複葉、各羽片間の間隔はやや広い。

Fig.4 葉柄基部の鱗片。(西宮市・旧畑作地の林縁 2016.8/10)
  葉柄基部には粗い毛が生え、披針形の鱗片がまばらについている。

Fig.5 羽片には柄がある。(兵庫県三田市・農道脇草地 2011.8/15)

Fig.6 小羽片。(兵庫県三田市・農道脇草地 2011.8/15)
  小羽片は羽軸に直角に近い角度でつき、広披針形〜3角状長楕円形とヒメワラビよりもやや幅広く、基部は切形〜心形。
  小羽軸には狭い翼があり、短い柄がある。裂片の中肋も小羽軸に直角に近い角度でつく。

Fig.7 小羽片の裏面。(兵庫県三田市・農道脇草地 2011.8/15)
  胞子嚢群は辺縁と中肋の中間につく。

Fig.8 苞膜。(兵庫県三田市・農道脇草地 2011.8/15)
  苞膜はヒメワラビとほとんど同形・同大、同様に毛がはえる。

Fig.9 成熟したソーラス。(西宮市・旧畑作地の林縁 2016.8/10)

Fig.10 胞子。(西宮市・旧畑作地の林縁 2016.8/10)
  胞子は楕円形で、表面には鱗片状の断続する突起が見られた。1目盛=2.5μ。

生育環境と生態
Fig.11 農道脇に群生するミドリヒメワラビ。(兵庫県三田市・農道脇草地 2011.8/15)
向陽な農道脇で、草刈り後にミドリヒメワラビが新鮮な葉を上げていた。
同所的にキツネノマゴ、イノコヅチ、メヒシバ、ヘビイチゴなど農耕地に多い草本が見られた。

Fig.12 旧畑作地の半日陰にするミドリヒメワラビ。(西宮市・旧畑作地の林縁 2016.7/23)
小さな谷の入口にある畑地が休耕され、2年後くらいからミドリヒメワラビが出現しはじめ、今では大型の個体も多く見られる。
やや湿潤な場所で、同所的にミヤマシラスゲ、ジュズスゲ、まばらなネザサ、エノコログサ、コブナグサ、アシボソ、アオミズ、ハナタデ、イノコヅチ、
イヌガラシ、ニシノオオタネツケバナ、ヘビイチゴ、キツネノボタン、ミズユキノシタ、ミズタマソウ、キツネノマゴ、タブタビラコなどの草本が見られた。


最終更新日:18th.Aug.2016

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