ミチバタガラシ Rorippa dubia  H.Hara
  里山・林縁の植物 
 兵庫県RDB Cランク種
アブラナ科 イヌガラシ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)

Fig.2 (兵庫県加西市・社寺境内 2015.10/26)

社寺境内や古い土壌の残る道端、畑地、庭などに生育する多年草。
根茎は短い。茎は斜開して分枝し、高さ10〜20cm。
イヌガラシよりも葉の長さに比して幅が広く、茎は低く、花弁を欠く。
花弁を持たないイヌガラシの品種のアオイヌガラシに似るが、角果は真直ぐで、1室内に種子を1列に配する。
斜開した花茎は花が終わると倒伏しがちである。
近縁種 : イヌガラシ(アオイヌガラシを含む)コイヌガラシ

■分布:本州、四国、九州、沖縄 ・ 中国、東南アジア、インド
■生育環境:社寺境内や古い土壌の残る道端、畑地、庭など。
■花期:4〜7・9〜10月

Fig.3 開花期の全草標本。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)
  茎は低く、葉幅は広く、羽状裂葉となる葉は少ない。

Fig.4 果実期の全草標本。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)
  茎は斜開して分枝する。角果は直線的で、開出気味につく。

Fig.5 葉のバリエーション。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)
  葉は卵形の単葉のものと、下方に裂片をつける裂葉とがあり、単葉のもののほうが多かった。
  葉縁には不整な粗い鋸歯がある。葉柄は上部に翼があり、翼は基部にむかうにつれて狭くなる。

Fig.6 茎は斜開分枝する。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)

Fig.7 開花中の花。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)
  花には花弁がなく、萼片は平開せず直立している。
  花柱は受粉前は黄緑色だが、受粉後は紫褐色を帯びる。

Fig.8 果実期の花序。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)
  開花期が終わると花茎は倒伏する傾向が見られた。
  角果はイヌガラシのように湾曲ぜずに直線的で、花序に開出気味につく。

Fig.9 角果。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)
  角果は中央に隔壁がある2室からなり、1室に1列となって並ぶ。
  アオイヌガラシは1室内に種子が2列に配置するので区別できる。

Fig.10 角果は長さ2cm内外。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)

Fig.11 種子。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)
  種子は球形〜楕円形、長さ約0.5mm、稜と不明瞭な角があり、表面には低い突起らしきものがある。
  種子についている糸状のものは珠柄であり、珠柄と種子との合点は心形にくぼむ。
  種子の形状はアオイヌガラシよりも丸みが強く、より小さい。

生育環境と生態
Fig.12 社寺境内に生育するミチバタガラシ。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.7/8)
里山の山麓にある社寺境内の手水鉢の周りを中心としてミチバタガラシが生育していた。
手水鉢には山からの清水が常に供給されて周囲に水がしたたり落ち、湿った半日陰の裸地環境となっていた。
度所的には踏み付けに強いオオバコやスミレ類、チドメグサなどが多く、ミチバタガラシは踏み付けを受けにくい石垣の裾や、
石の間にヒメヨツバムグラ、タネツケバナなどとともに多くの個体が生育していた。


最終更新日:9th.Sep.2016

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