ミズタマソウ | Circaea mollis Siebold et Zucc. | ||
里山・山地・林縁の植物 | アカバナ科 ミズタマソウ属 |
Fig.1 (神戸市・林縁 2011.8/13) |
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Fig.2 (神戸市・用水路脇 2013.9/6) 里山〜山地の適湿な林縁、疎林の林床に生育する多年草。根茎は高さ20〜50cm、下向きの細毛がある。 葉は長卵形〜卵状長楕円形、長さ5〜13cm、幅2〜4cm、低い鋸歯があり、葉柄は長さ1〜4cm。 花は白色または淡紅色。花序は長さ15cmになり、無毛または細毛を散生する。 果実は広倒卵形、径3〜4mm、溝があり、白色のかぎ状の刺毛をつける。 品種ヒロハノミズタマソウ(f. ovata)は葉が卵形、基部がやや心形となり、葉柄は長い。本州中部。 ウシタキソウ(C. cordata)は全体に毛が多く、葉は卵状で基部は心形、果実は球形で溝はほとんどない。北海道〜九州。 エゾミズタマソウ(C. canadensis subsp. quadrisulcata)は茎が無毛、葉は狭卵形で波状縁、花柄には腺毛があり、花弁は紅色。北海道〜本州。 タニタデ(C. erubescens)は茎がふつう紅色を帯び、花柄は無毛、花弁は3裂、果実は倒卵形で溝がない。北海道〜九州。 またタニタデとの種間雑種にミズタマタニタデ(C. erubescens x C. mollis)がある。 近縁種 : ウシタキソウ、 エゾミズタマソウ、 タニタデ、 ミヤマタニタデ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、インドシナ ■生育環境:里山〜山地の適湿な林縁、疎林の林床など。 ■花期:8〜9月 |
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↑Fig.3 葉。(神戸市・林縁 2011.8/13) 葉は長卵形〜卵状長楕円形、長さ5〜13cm、幅2〜4cm、低い鋸歯があり、葉柄は長さ1〜4cm。 |
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↑Fig.4 花序は頂生するほか、上部の葉腋から側生する。(西宮市・林縁 2011.8/7) |
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↑Fig.5 花序。(神戸市・用水路脇 2013.9/6) 花序は総状花序で長さ15cmになり、無毛または細毛を散生し、白色または淡紅色の花をつける。 |
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↑Fig.6 花序軸と花柄の毛。(神戸市・用水路脇 2013.9/6) 花序軸には比較的多くの腺毛が生え、花柄には腺毛が散生していた。 |
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↑Fig.7 花。(兵庫県篠山市・林縁 2014.7/31) 花は全て2数性で、花弁は2個で2中裂し、雄蕊2個、雌蕊の花柱は2個が合着して柱頭は2岐する。 子房下位で、表面にはかぎ状の刺毛が密生する。 |
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↑Fig.8 果実形成期。(西宮市・林縁 2011.8/7) 花後、花柄の基部から下向きとなり、熟していく。花後間もなく、果実表面には溝が目立ってくる。 |
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↑Fig.9 熟した果実。(兵庫県篠山市・果樹園の林床 2013.2/7) すでに年を越して2月になっているが、草体は枯れて倒れこんでいるが、果実はまだ宿存していた。 果実には融けた雪の水滴がまとわりついている。 |
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↑Fig.10 春の草体。(西宮市・林内の細流脇 2015.4/21) 展開間もない葉は赤紫色をおびていた。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 谷津の休耕田の用水路脇に生育するミズタマソウ。(神戸市・用水路脇 2013.9/6) 都市近郊部の谷津では農業従事者の高齢化により耕作放棄田が増加の一途で、ここもそのような場所である。 谷津田脇の細流はかつては用水路として利用されていたはずであり、現にそのように利用されている場所も多く存在する。 ここでは畦も刈られることなく、ミズタマソウものびのびと生育しているが、かつては開花期に草刈りの受難にも遭っていただろう。 畦は草深いが、かつて畦畔強化のために植栽されたであろうジャノヒゲが生育し、ツユクサが多く、木陰が被る場所ではヤブランが生育している。 細流内にはヤナギタデ、ケキツネノボタン、ホソバノヨツバムグラなどが見られ、日当たりのよい適湿な水田土手にはノダケが点在していた。 |